2010年1月31日日曜日

セレブのジレンマ

たった今、テニスのオーストラリア・オープンが終わった。いつもの如く、最強のロジャー・フェデラーが優勝。対戦相手は英国のアンディ・マリー、英国では35年ぶりに自国民が四大会で優勝するのではと、にわかに彼への期待が高まっていた。
そうよね、今やウィンブルドン症候群とも言われ、ウィンブルドンで英国選手が優勝することは皆無だから。

で、このフェデラーという人、もう30歳近いのだが現役でまだまだ頑張っている。
どうしてか・・・
個人的な蓄財やアスリートとしての名誉のためかと思ってもいたが単にそうでないらしい。

実は彼は自分のチャリティ団体を持っている。
その名も、「ロジャー・フェデラー基金」。
アフリカ(エチオピア、マリ、マラウィ、タンザニア、ジンバブエ、南アフリカ)を中心に学校プロジェクトなどを支援している団体。
で、この基金を運営していくお金が必要で彼はひたすらプレーし、勝ち続けている。これからも勝ち続けなければならない。
言い換えると、チャリティがあるのでテニスを止められないという複雑な事情があると言われている。
それ以外にもユニセフの親善大使をやっていて、ボノやアンジェリーナ・ジョリー顔負けのチャリティ・セレブなんだそうだ。

志気をもって始めた活動は立派なことだが、彼がいづれ引退する時が来たら、基金はどうなっていくのだろう。ミュージシャンや俳優と違い、スポーツ選手の現役寿命は短いので悩ましい未来が待っている。
セレブが思いついて立ち上げるのは簡単だが、持続性をもって組織を維持していくのはテニスで勝つよりもっと難しいかもしれない。

何はともあれ、がんばれ、フェデラー君。

2010年1月29日金曜日

世界都市ランキング

今日、世界で一番美しい都市ベスト12というのがフォーブス誌で発表されたという記事を目にした。それによると・・・

1位  パリ(仏) 
2位  バンクーバー(加) 
3位  シドニー (豪)
4位  フィレンツェ (伊)
5位  ベニス (伊)
6位  ケープタウン(南ア)
7位  サンフランシスコ(米)
8位  シカゴ(米)
9位  ニューヨーク(米)
10位 ロンドン(英)
11位 ケンブリッジ(英)
12位 東京(日)

パリは特に凱旋門、エッフェル塔が高い評価を得たとか・・・  
うーん、そうなのかなぁ。ちょっとミーハー的な感じもする。パリではセーヌ川沿いにあるオルセー美術館とかの方が絶対に素敵だと思うけど。
ベニスやケンブリッジなど中世の雰囲気が漂う街は同感。
しかし東京が何故?東京といっても皇居、東京タワー、桜が評価の対象らしいが、何故東京タワーが?
あれはパリのエッフェル塔を真似て作られたと聞いたけど・・・

もうひとつ、世界の住みやすい都市ランキングというのがある。エコノミスト誌のIntelligence Unitが毎年出している。これは上の美しさランキングとはうって変わる。2009年のスコアでは・・・

1位 バンクーバー(加)
2位 ウィーン(オーストリア)
3位 メルボルン(豪)
4位 トロント(加)
5位 パース(豪)
6位 カルガリー(加)
7位 ヘルシンキ(フィンランド)
8位 ジュネーブ(スイス)
9位 シドニー(豪)
10位 チューリッヒ(スイス)
・・・・
最下位 140位 ハラレ(ジンバブエ)

パリが入ってないところは不思議と納得。でもこれってオーストラリア、カナダ、スイスに偏っている。
それと物価はかなり高そうなので、お金がある人にとって住みやすい街なのかもしれない。悪いけど、ヘルシンキなんて住みたくない、冬の日照時間は5時間くらいと聞いた。

ところがこの住みやすさランキング、格付け会社の設定する指標によってかなり異なる。
ちなみにニューヨークにある、Mercer Human Resource Consultingという会社が出している評価だと・・・

1位 チューリッヒ
2位 ジュネーブ
3位 バンクーバー
3位 ウィーン
5位 オークランド(ニュージーランド)
5位 デュッセルドルフ(独)
7位 フランクフルト
8位 ミュンヘン
9位 ベルン(独)
10位 シドニー

ドイツが4つも入っているのはちょっと偏りがある・・・

もう一つ、驚くのがカナダのMonocleという会社が出している住みやすさランキング・・・

1位 チューリッヒ
2位 コペンハーゲン(デンマーク)
3位 東京
4位 ミュンヘン
5位 ヘルシンキ
6位 ストックホルム(スウェーデン)
7位 ウィーン
8位 パリ
9位 メルボルン
10位 ベルリン

東京が3位?パリがメルボルンより住みやすい?
実際に住んだ人間としてはかなりこれは疑わしい評価である。
使っている指標はそれぞれの会社により違うので当然、結果も異なるが、でもMercerではパリは33位、東京は35位なのにMonocleでは両国はいきなりトップ10入りする。

ということで、住みやすさを客観的に評価するのは難しいことがわかった。そして住みやすさとは個人が追求する優先順位により異なるのではないでしょうか。
私としては、太陽がなるべく長くあたるところで物価が比較的安いところがまず第一の条件かな。なので北欧、スイスやカナダはありえない。
バリ島のウブドあたりに一度(一生ではない!)住んでみたい・・・

2010年1月25日月曜日

初めてのトライアル

日曜日に二人のお客が来たので献立を考え、スターターにパンとかぼちゃスープを作ることにした。
年末のクリスマス・プレゼントにMon mari からパン焼き機をもらった。パナソニック製で、こちらでは一番上質のパンが作れるという評判の代物。
何度か色々と挑戦したが、小麦粉の種類によって仕上がりが異なることが判明した。
イギリスで買ってきた粗麦の粉だと、いわゆる「イギリスパン」のような山形のふっくらした食パンができた。
で、フランスで買った小麦粉だと、「パン・ド・カンパーニュ」のような丸型で、外は堅く中がもっちりしたのができる。どうも強力粉(イギリス)、中力粉(フランス)の差でパンの膨らみ具合が異なるようだ。今日は、英仏小麦のミックスバージョンを試してみた。9時間45分後に仕上がるように前の晩にセッティング。
しかしこの機械、やたら大きいので小さなキッチンではすごい邪魔になる。

仕上がりはこんな感じ。やっぱりイギリスパン風にはできなかった。上の部分、ちょっと形が悪いね・・・


フランスで売っているかぼちゃはやたら大きくて中はオレンジ色であまり甘くない。水っぽくて濃くがないのでスープ向きでない。
で、近くの日本食材店で「日本風かぼちゃ」(中が黄色いもの)を買った。うまく作れるか・・・
ちなみに私の経験では、かぼちゃ、きゅうり、ピーマン、なすは絶対に日本の方がおいしいと思う。

皮むきに大奮闘、フードプロセッサーで一気に攪拌して、ご覧のようなきれーいな黄色いかぼちゃスープができた。甘くて最高、友人はイギリスと南アフリカから来た人で、日本のかぼちゃスープを飲んだことがないとか、「こんなに甘くて濃くがあるかぼちゃは初めて」と驚いていた。ちなみにこの日本かぼちゃはオランダで作られて輸入されているそうだ。
形悪い英仏パンは、意外に中はしっとりおいしくできて、スープとぴったし合った。
とりあえず、何とかうまくいって、ホッ!

2010年1月24日日曜日

レジの文化

今日も週末で混んでいるスーパーに行き、レジで格闘してきた。
フランスのスーパーのレジはどうしてこうストレスがたまるのか・・・
週末の夕方はどこの国のどこの町の店もすごい混んでいて行列があるのは当然だが、何故かフランス、特にパリでは血圧が200くらいに上がってしまうほどのすさまじさだ。

国ごとのスーパー利用術の比較研究をしてみよう。

フランス(特にパリ)
行列:10人以上の長い列でも他のレジを開けてくれることは少ない。どうしてこんなに長くなるのか不思議。とにかくすべての手際が悪い。数ユーロの品物でも小切手で払う人がいまだにいるので精算だけで本人確認などで5分以上の処理がかかる。そんなの現金で払ってくれ!、と言いたい。まるで20年前の世界みたい。やっと小切手客が終わって次の客になると今度は品物の値札がついておらず、値段の確認でさらに5分かかりレジ業務が完全ストップ。値札落ちはしょっちゅうある。非効率の連鎖。
レジ係り:全員すごいつまらなさそーで、無愛想な表情をしている。一応「ボンジュール」「オールブォワ」とかは言ってくれるけど自動販売機の音声ボイスみたい。年に一度くらいニコっと笑って愛想のいいレジ係りがいると逆に気持ち悪くなる。客や他の従業員とのおしゃべりが始まるとこれが長い。でも誰も文句言わない。
レジ袋の詰め方:バーコードを読むとすぐ横のカウンターで自分でどんどん袋に詰めていく。ノロノロしているとお会計がきて、払い終わってもぐずぐず詰めていると、次の人の品物が来てしまい自分のものと混じってしまう危険性あり。混じってもレジ係りは知らんぷり。混じらないようにするためのスピード処理に最近はようやく慣れて来た。もし袋の早詰め競争があったら絶対に優勝する自信あり。どんなにたくさんの品物を詰めていても店員は絶対に手伝わない。時々お釣りを投げるように渡され、コインが散乱する。店員は「ごめん」の一言もなし。

日本
行列:3-4人くらい並ぶとすぐ店員が走ってきて「お待たせいたしました、こちらへどうぞ」と言って他のレジをあけてくれる。
レジ係り:丁寧な店だとピョッコと頭を下げて「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と言ってくれる。おしゃべりは禁物。おつりも紙幣とコインを分けて、両手で丁寧に手渡ししてくれる。ちょっと丁寧すぎて面食らうことがある。
レジ袋の詰め方:バーコードを読んだら、店員がかごに移す、支払ったら自分で別のカウンターであらためて入れなおす。これで行列の時間は短縮されるが、かごに入れる、自分の袋に入れる、と2度の操作があるので時間的にはより長くなるのが難点。

英国
行列:すごい行列でもパリほどの時間は待たないのが不思議、手際のよさの違いか。またパリより多くのレジカウンターが開いている。最近は無人のセルフ・チェックアウト・マシンが導入されているので、品物が少ない場合はそちらで自己精算できる。
レジ係り:対応は普通、表情も普通、良くも悪くもない、極めて英国的。「ハロー」「サンキュー」は勿論のこと、おしゃべりもそれほど目立たない。
レジ袋の詰め方:バーコードを読むと、横のカウンターで自分で詰める。ただしバーコードを通し始める前にレジ係りが必ず「袋に詰めるのを手伝いましょうか?」と言ってくれる。特にたくさん買った人やお年寄りなどは詰めてもらうと随分楽だ。私はいつも「大丈夫、自分でできます」と言う。

オーストラリア
行列パリのような長蛇の列は見たことない。英国と同様、比較的多くのレジカウンターが開いている。
レジ係り:「オージースマイル」が英国より明るい。
「グッディ(Good'ay、オージーのハローという意味)」「サンキュー」は勿論のこと。おしゃべりもあまり目立たない。
レジ袋の詰め方:レジ係りの横にレジ袋が掛かっていて、バーコードを読むと自動的にそこに品物を丁寧に詰めていってくれるので、自分で入れる必要なし。もしエコバックを持っていったら、そこに掛けて入れてもらうよう頼む。時間的にも手間的にも一番効率的な方法。

以上をまとめると・・・
行列はパリが最長。原因はレジカウンターを空けてくれない、店員のおしゃべりの多さ、客が一人でレジ袋を詰めるので時間が有して後ろがつっかえる・・・などなど。それほど長く並ばないで済むのは日本かもしれない。

レジ係り:対応、サービス精神ともパリは最低。一刻も早く無人のセルフチェック・アウトを入れてくれ。その方がはるかに心地よい。対応は日本が最高だが、ちょっぴりサービス過剰かな。心地よさと自然さではオージーが花マル!

袋詰め:せわしなく超特急で詰めなければならないパリは極度の緊張が要る。焦って卵とか割ってしまったことがある。日本も自分のペースで詰められるのはいいが、結局は倍の時間がかかることを考えると、レジ係りが品物をそのまま袋に入れてくれるのが非常に効率的で双方に無駄な動きがないので、オージーに軍配。

この結果をもちまして、スーパーレジ利用の快適ランキングは
1位 オーストラリア
2位 英国
3位 日本
4位 フランス

でございました。

2010年1月17日日曜日

不合理な搾取の法則


ハイチが大変なことになっている。
ハイチのことは全くの無知な私だったが、昨日の新聞でその歴史を学んで驚愕してしまった。
今のハイチはまさに植民地の歴史が作った悲劇の産物と言っても過言でない。

ハイチは西インド諸島のイスパニューラ島の西部の国、東側がスペイン領だったドミニカ共和国。ハイチには最初スペインが入植したが17世紀にはフランスが占領した。

18世紀には80万人もの奴隷を西アフリカから連れてきてプランテーションで働かせた結果、ヨーロッパ全体で消費されるコーヒーの60%、砂糖40%を生産、輸出するほどに至り、フランスにとって天井知らずの利益をもたらす最も豊かな植民地の一つになった。一方、ハイチは大西洋の奴隷貿易の3分の1を占めるほどの国になり、支配者による過酷な労働や虐待、殺人はすさまじいものだったらしい。

しかし18世紀後半に起こったフランス革命により人権意識が次第に浸透し(特に白人領主やその使用人)、奴隷たち自身がその開放に向け蜂起し、内戦状態になった。ハイチは英国の援軍も得て、結局フランスの総督は殺されフランス軍は駆逐されて、ハイチは1804年に独立を果たした。ハイチは中南米で最初に独立した国、そしてアフリカ系移民が一番多い国だそうだ。

ただし、独立後、フランスはハイチを外交的に国として認知する代わりにハイチ政府に何と賠償金(金貨で1億5千万フラン、現在の貨幣価値だと2兆円位)の支払いを求めた。ハイチは1825年から1947年までの120年以上にわたり、この独立賠償金をフランスに払い続けた。この賠償金はその後のハイチを苦しめた。賠償金の支払いのために米国、ドイツ、フランスの市中銀行から高金利で金を借りて返済し続けた。1900年までには国家予算の80%が借金の返済に当てられていたというから、経済が破綻するのは当然だ。その後も国際金融機関などからの借金のための借金は続き負債のスパイラル。
政治的にも独裁者による圧制が続き、特に1957年に就任した「パパ・ドク」は近代史の中でも最も腐敗し、弾圧した政治家として有名、その息子「ベビー・ドク」も同様だった。彼らは秘密警察を作り、反体制派の人たちおよそ6万人近くを拷問、虐殺してきた。結局、ベビー・ドクは国を追放されることになるが、9億ドル(900億円)相当の資産を持って海外に逃げた。パパ・ドクの時代は海外援助の80%が横領されていたそうなのですごいスケールの蓄財だ。

今回の地震の被害は相当なものだが、同じ島のドミニカや隣のキューバに比べると、インフラや住居がものすごく脆弱でドミニカも一部地震があったもののハイチほどの被害は見られなかったとか。長い間の経済破綻と政治崩壊により国全体で災害に耐えられる建物を建てる力がなかったことが大きな原因と言われている。
国連は震災後、フラッシュ・アピールを国際社会に出し、あちこちの国や機関が救援に入っている。各国や国際機関からの資金拠出のプレッジ額が発表されたけど、日本は5億円ほどを誓約した。オーストラリアですら9億円近く出しているのに、どうして援助大国がこんなに少ないのか?それとこのリストにフランスのプレッジ額が載っていない(後から追加されるのだろうが)。フランスは今回は何となく控えめであまり全面に出てきてない感じだ。

そもそも、フランスの強欲な収奪が原因でこの国をこんなに貧しくさせてしまったのではないか。フランスはそのことを十分認識しているので、ハイチに対して強気になれない、お得意のフランス語やフランス文化を普及させるという旧宗主国面ができないのだと思う。
だいたい、植民地に対して賠償金を払わせる国なんて聞いたことない。日本ですら、侵略したアジア諸国に対し、ODAを通して戦後賠償してきた。英国も脱植民地化後は援助を提供し続けており、旧植民地から金をむしり取るなんてことはしていない。
20世紀半ばまで賠償金に苦しめられた貧しい国に対して、フランスはハイチが払った分の金額を現在の物価に合わせてそっくりそのまま返していくべきだと思う。誰か、それを訴える人はいないのかしら。途上国の債務問題を訴えているベルギーのNGOの友達に相談して一緒に声をあげてみようかな・・・

下の写真:小さな娘を亡くして号泣している父親。何ともいたたまれない・・・


2010年1月14日木曜日

ミドル・エイジのパワー

日本やアメリカでは歌手や役者の中心は20代、30代である。それ以降の年齢になると、中心からはずれて懐メロか脇役に転じていく。若さや美貌に極度な価値をおく社会なのだと思う。中年以降の人々は社会の中で「見えない存在」になってしまう。

英国のテレビや映画を見ると、中年以降の人たちが中心になって活躍するのをよく目にする。50代、60代の人たちが主役になることも珍しくないし、黄色い歯やしわしわの顔をした俳優もたくさんいる。ハリウッドのように極度に人工的な美や若さを追求することもないので(美容整形は英国では繁盛しないビジネスらしい)、見ていると親近感も湧いて、「ああ、こういう人よくいるし、こういうことは自分の回りにもよくあるな」と思いながら安心して見られるよさがある。

去年、世界中でブレークした、スーザン・ボイルもその一人。英国の典型的な中年女性。スコットランドの小さな村に住んでいて、有名になるまでは多分自分の国どころかスコットランドすら出たこともなかったのだろう。彼女は歌唱力も買われたが、何よりもその容姿や彼女が歩んできた人生そのものがスターになる素地とはかけ離れていたため余計に注目された。当初は「Hairy Angel(毛深い天使)」などと揶揄された一方で、年を取っても容姿が衰えても夢はかなうことがあるという事実が多くの人の心をつかんだ。彼女のような雰囲気の人は英国にたくさん存在し、非常に身近な存在である。そういう中からダイアモンドの原石のような大物が出てくるのだろう。そして大物はいつも田舎から出る。

日本でも紅白にスーザン・ボイルが出演したと聞いたが、こちらの暮れにもBBCの1年の総括特集の中でスーザンの話題もあって、ミュージカル女優のエレイン・ペイジとスーザンが共演し歌っている姿が放映されていた。スーザンは「Britain's Got Talent」の最初のオーディションで「エレイン・ペイジのようになるのが夢」と語っていた。10ヶ月後、「夢やぶれて」でなく「夢かなった」女性は世界的なミュージカル女王と一緒に素晴らしいデュエットを披露している。
(ミュージカル「Chess」のトラック、 「I know him so well」、名曲ですね~)



この動画が見られない場合はこちらから。

2010年1月9日土曜日

お酒に飲まれる人、飲まれない人

お酒は気持ちを高揚させ人とのコミュニケーションをスムーズにさせてくれる潤滑油みたいなもの。
でも飲みすぎると色々面倒なことが起こる。

昨日のBBCのニュース。
英国ではアルコール問題が深刻になっている。街には酔いつぶれた人、酔って喧嘩や暴力沙汰が激増し、毎晩警察が酔っ払い対策に追われている。そして健康障害が急増しているそうだ。

お酒の問題が最近増えた理由として、20年前から比較するとお酒の価格がすごく安くなっていること、そして昔は酒屋でしか売ってなかったものが今はスーパーやNews Agentなど雑貨屋の棚にも売られるようになり、いつでもどこでも手に入るからだそうだ。

特に健康に関してはNHS(国家保健サービス)の財政をすごく圧迫している。お酒に関する病気治療や救急出動などにかかる経費が年間27億ポンド(4000億円以上)かかり、この状態が続くとNHSが破綻すると言われている。なので英国政府は真剣にアルコールの問題に着手しようとしている。一番手っ取り早い方法としてはまず、お酒の価格を引き上げることで摂取量を減らすこと。これはたばこと同じで、健康被害をもたらす嗜好品については価格を上げて、インセンティブを抑制させるやり方である。

以前、イギリスのテレビで「どうして我々はこんな醜い酔い方をしている一方で、ワイン王国のフランス人は相当飲んでいるにも拘わらず、お酒に飲まれず、醜態を見せないのか?」という番組が放映されていた。そこでの比較分析では、フランス人はそもそもお酒は酔うためでなく味わうために飲んでいること、そしてお酒を飲むときには必ずきちんとした食事を取る、お酒と食事がセットになることで悪酔いを防止している」ということだった。そう言われると、パリでは酔った人が千鳥足で歩いていたり、吐いたり、喧嘩をしたり、醜態を見せている場面に遭遇することはめったにない。

英国はパブ社会でもあるので日常的にちょっとお酒をひっかけてホロ酔い気分になるのは当たり前。フランスではお酒だけを扱うバーというのはあまりない。お酒は必ずカフェ、ブラッサリー、レストランで飲む。確かに人々は飲み方をわきまえて、お酒に飲まれないように心がけている印象がする。

日本も英国と同じように夜になると街で酩酊した人をよく見るが、これはまた違う文化や習慣かもしれない。日ごろ抑圧されているためか、うっぷん晴らしで飲む人が多いような気がする。公衆道徳の面では問題かもしれないが、お酒により国家の保健システムを圧迫するような問題には直面していないことが唯一の救いである。

2010年1月7日木曜日

1月のお菓子

クリスマス前後から食べ物の話題が多くなってますが、今回もまた食い意地がはっている猫姫のしょうもない情報です。

昨日の6日、フランスは「ガレット・デ・ロワ」デーだった。フランスのお正月はこれで始まる。
これはキリスト教の「エピファニー」という祭日にちなんだものとか。キリストの誕生を祝って、東方から3人の王様が来てくれたことが由来で、ガレットは円形のお菓子、ロワは王様という意味である。

このガレット、見かけは普通のケーキに見えるが、さくさくのパイ生地の中にアーモンドクリームが入っていて、ものすごくおいしい。フランス菓子の最高傑作の1つと言っても過言ではない。
家族や友人とガレットを切り分けて、中に「フェーブ」(そら豆という意味)という小さな陶器のおもちゃをゲットした人が王冠をもらえて、その人はその1年幸運になるとか。
一言でいうと、フランスの開運スイーツという感じかな。

去年は友人がピスタチオ・クリームのガレットを持ってきてくれ、一昨年は別の友人宅でガレットパーティがあったが、今年はMon mari と二人だけのガレット・デーだった。近所で一番おいしいというパン屋から一番小さなガレットを買ってきた。直径18センチくらいだが、13ユーロ(1500円くらい)もした。安いのもあるが、やはりそれ相応の値段のガレットの味は絶品だった。

フェーブは何故か二つ入っており、Mon mariと分け合い二人で王冠をかぶってしまった。二人ともこの1年、幸せになれるといいけれど・・・ 私たちのフェーブは、男性と時計だった。このフェーブに凝って、コレクションしている人も多いらしい。

もし日本のケーキ屋さんでも売っているのを見たら、ぜひお薦めの一品です。

2010年1月5日火曜日

責任と排除の論理

今朝は午前9時で気温0度。日中も3度くらいまでしか上がらなかった。すごい寒波の日々。家の中は日中でも寒く、ひざ掛けと湯たんぽをかかえて私は机に向っている。

こういう寒い日にはうちの近所でも見かける路上生活者の人たちはどうしているんだろう、と思ってしまう。大晦日にエッフェル塔を見に行った帰りにも何人かの人が雑踏の中、路上に寝ていた。東京のようにあちこちに地下街がない都市なので路上に留まるしかない。夜は氷点下になるので凍死する人も結構いるだろう。

パリの街では、ワゴン車から数人の人が降りて路上生活者に話しかけているのをよく見かける。ワゴン車を見ると「SAMU Social de Paris」と書いてある。SAMUとは救急車のこと、Socialがついて「社会的救急車」という意味。つまり路上生活者や生活困窮者への救命救急活動をを行なっている団体。困っている本人自身か、目撃した人が115に電話するとSAMU Socialが助けに来てくれる。食事、医療、シェルターなど緊急に必要なサービスを提供してくれる。オンコールだけでなく、毎日3回は町中を巡回して、特に寒い夜には暖かいコーヒーを持っていき路上にいる人たちに声をかけて安否を確認しているそうだ。昨今は金融危機後は失業者が増加してニーズが高まったのでSAMU Socialは活動はフル回転になっているとか。
日本ではこんな活動は絶対に見たことがない。

SAMU Socialは、国境なき医師団(MSF:Médecins Sans Frontières)の共同創設者である、グザビエ・エマニュエリさんが93年に設立したNPOである。フランス政府からの支援も受け、いまやMSFや赤十字とも連携して全国的にSAMU Social活動を展開している。

フランスではこのような路上生活者は社会的に排除された人としてみる。しかし日本ではホームレスの人たちは「自己責任」とか「自業自得」という目で見られるが、ヨーロッパでは排除している国や社会の責任として受けとめている。「ビッグ・イシュー」の発祥の地、英国でも路上生活者やホームレスに対しては「あの人たちは色々な事情があってああいう生活になってしまっている、だから社会が助けなければいけない」という考えが根底にあり、自己責任などという考えは微塵もない。

日本でも公設派遣村ができたとニュースで知ったが、一時的な救済でなくSamu Socialのように制度的に社会の中に弱者を救済する仕組みができなければ意味がないと思う。
日本とフランス、何が違うのか、人々の意識、社会、政治なのか、よくわからないけど、何かが違うのは確か。

住んでいるといらいらして頭にくることが多いフランスであるが、弱者に対する人々や社会の責任感の強さにはすごいと思い、また敬意を感じる。

この画像はパリ南東にあるトロワ(Troyes)市で活躍する、赤十字がサポートするSAMU Social。

2010年1月1日金曜日

Bonne Année !


新年明けましておめでとうございます。
皆様にとって実りの多い年になりますように・・・。
そして今年も昨年と同様によろしくお願いいたします。

私たちは大晦日は家ですごし、フランス式と和式の折衷ご飯を食べた。
フランスでは大晦日は何故だか理由はわからないが、牡蠣、サーモン、オマールエビなどの魚介類を食べる。
街角のあちこちで2ダース入りのオイスター・ボックスが売られている。大体1人、1ダース近くは食べるようである。この魚介類を食べながら大統領演説を聞くのがフランス人の大晦日の過ごし方とか。

私たちもブルターニュ産のオイスター2ダースを買った。
殻ごと売っているので、自分で殻を開けなければならない。
最初はすごい奮闘したが、今ではわたしはプロそのもの。
特製手袋をして、一瞬抵抗するオイスター君と格闘して踏ん張る。1ダースをものの5分で開けてしまった。

ということで、とりあえず昨晩は二人で牡蠣1ダースとシャンペンで乾杯した。あとの1ダースは新年の夜ということで残しておいた。

そして日本の伝統である年越しそば。天ぷらも揚げて、細く長く達者に暮らせるように祈ってそばをすすった。
Mon mari はどうもこのそばの由来がわかるようでわからないようだ。細く長くというのは日本人の感覚なのかもしれない。欲を言えば太く長くというのもありかもしれない。そうするとそばでなく、極太うどんになるのかな?

カウントダウンはエッフェル塔まで歩いて、イルミネーションと「キラキラ閃光」をみて、おめでとうをした。

2010年、どんな年になるのか、個人的には不安と期待がちょっと入り混じっている。