2009年9月23日水曜日

カレー市:陰の部分


前回と異なり、今日はカレー市が抱える深刻なお話・・・。
世界的にはあまり知られてないのだが、カレーは現在多くの外国人の対応に苦慮している。実はこの小さな街には今、アフガニスタン、イラク、エリトリアなどから来た、およそ1000人の避難民(Asylum Seekers)がいる。彼らは街のはずれにある「ジャングル」と呼ばれる雑木林にビニールシートや廃材などを使ってテントを張り、野営生活をしている。全員の目的は英仏海峡を越えて英国に行くこと。そのために、命の危険を冒しても、海峡を渡る大型トラックの車体の下や荷台に隠れて、国境越えを毎日毎晩、何度となく試みている。以前は高い成功率だったようだが、最近は英仏の海峡チェックが相当厳しくなり、検問でほとんど捕まっているようだ。

英国に渡りたい理由。それは英語圏で経済的チャンスを得ること。家族や親類が呼び寄せているケースも多い。また多くの避難民は若者、もしくはUnaccompanied Minors と呼ばれる単身の未成年の青少年や子どもたち。

この現象は2000年初頭から始まり、当初はクルド人が多かったようだ。一時は1500人近くに増え、カレー市の一角に収容所を作ったが、その収容所が半永久化して批判を浴び、また多くの者は英国に定住、もしくは本国帰還となったので収容所は閉鎖された。しかしそれ以降も避難民の流入は増え続け、国籍も多様化した。彼らのほとんどはフランスでの庇護や定住を求めていないため、早く彼らを出したいフランス政府と、受け入れを渋る英国政府との間で新たな緊張関係が生まれている。

現在、彼らはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、赤十字やフランスのNGOなどにより、食事などの最低限のサービスは受けているが、「ジャングル」は非衛生的で人間としての扱いを受けていないという国内外からの批判を受け、フランス移民局は今日、「ジャングル」を強制撤去、避難民を新たに設置した収容所に移動させた。BBCやCNNで、必死に抵抗する避難民たちが大々的に報道されていた。

以前、私たちもカレー市を車で走っていたとき、数人の男性が突然道路に飛び出してきて、前に走っているトラックに飛び乗って、荷台にしがみつく姿を見て驚いたことがある。その時は何のことか理解できなかったが、必死に海峡越えをするための避難民だったことが後でわかった。

アフガン人に関していうと大部分の避難民ははタリバンから迫害されたと訴えているようだが、小さな子ども以外は、英国やフランス政府からの難民認定は受けられないと言われている。

自発的な帰還以外、強制送還の道しか残っていない。彼らの前途は非常に厳しい。
(詳しくは以下の動画をご覧ください)。

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