2010年12月13日月曜日

五つ星のお味

日曜にDown Underに向けて出発した。
今回は初めてカタール航空を利用、いつもと違う航路を選択した。
パリからカタールのドーハで乗り継いで、メルボルンに到着。
およそ22時間ちょっとの飛行、シンガポールや香港経由より1-2時間短縮される。運賃も主要航空会社の中で一番安かった。

最近、カタール航空はあちこちで派手に宣伝をして、自らを「Five-Star Airline」と名乗っているが、そもそもFive-Starか否かは客や旅行会社が評価するものではないだろうか・・・?
初めての搭乗で個人的にはまだFive-Starには及ばないことを確信した。
まず出された食事のメインのおかずが二度も冷たかった。客室乗務員(CA)曰く、オーブンで温めるのだけれど、一旦冷たいカートに入れて配膳すると冷めてしまうのだとか。でも他の航空会社も同じやり方をしていても冷たいおかずを出された経験はないので、やっぱり工夫が足りないのだと思った。そして、10時間以上の飛行でトイレが思いっきり汚れてもCAは掃除などしない。全日空は定時にCAがトイレ掃除しているのを何度も目にした。

多分、ファーストやビジネスの客には極上のサービスをしているので評判はいいのだと思う。ちなみに、ドーハ空港ではすべての飛行機はエアブリッジでターミナルに接続できないため、乗客はタラップで一旦降りて、バスでターミナルに向かう。ファーストやビジネス客は「エグゼクティブ・バス」というのに乗せてもらえるが、エコノミーの客は別名「家畜バス」というのに乗るのだと他の乗客が言っていた。
しかし本当のFive-Starのエアラインとは、ファーストやビジネスでなく、エコノミーの客が気持ちよく楽に搭乗できるかの方が重要だと思う。その意味でシンガポール航空はエコノミーでも本当に心地よい。
それとドーハ空港のトランジットのバス乗り換えはものすごく時間がかかり疲れる(今、新しいターミナルを建設中らしいが・・・)。以上の理由から私としてはカタール航空はまだThree-Starくらいの評価しか出せない。

しかし最近の湾岸の航空会社の急成長ぶりには目を見張るものがある。
日本から欧州やアフリカに行く場合、ドーハやドバイなどを経由するのが当たり前になった。何故こんな現象が急速に起こっているのか?
勿論、湾岸への観光客や投資の呼び込みもあるが、実はこれは湾岸諸国政府の膨大の補助金によって成り立っている巨大ビジネスなのだそうだ。
つまり、ドバイ、アブダビ、カタールなどの政府はエアバスやボーイングの最新航空機を何十機も買いまくって、さらに自分たちの土地から採掘される格段に安い燃料を供給し、外国人のパイロットやCAを雇うことで、安全性、価格、イメージで圧倒的に欧米航空会社に勝っているのである。なので、欧米航空会社はエミレーツ、カタール、エティハッドなどは実質国有会社であり、WTOの補助金や競争の原則に違反しているとクレームしており、カナダはエミレーツの乗り入れを制限する対抗措置を取ったとまで言われている。

確かに機体は新しいし、CAや地上職員は白人系かアジア人系がほとんどで、アラビア語を話すカタール人などはあまり見かけなかった。とてもカタール人自前の飛行機に乗っているという実感はなかった。
そういう意味で、パキスタンのPA、バングラのビーマンなどは安全面ではちょっと怖いしサービスもよくないが、自力で運行しているのを見ると「頑張って!」と心から応援したくなる。

オイルマネーでのし上がった湾岸航空会社はこれからもさらに躍進していくだろう。でもパイロットもCAも外国人に頼っているうちはその国の人材の能力強化にならず、長期的に見るとマネー以外で国の発展に役立つのかは多いに疑問である。

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