2010年8月31日火曜日

TOKAI Life

INAKA Life からちょっと一息入れるためと、田舎でできないあれこれの野暮用を済ませるために、昨日メルボルンに上京してきた。
メルボルンは人口370万しかいない町だが、オーストラリアではシドニーに次ぐ2番目の都市。でも東京から比べると山手線の中にすっぽり埋もれる程度の町。とは言え、さすがにドがつく田舎から来ると、すごーい都会に見えて歓喜してしまう。たった1週間しか田舎にいなかったのに、随分お上りさんになったものだと思う。お店も一杯あり、食べ物もアジア料理が豊富で嬉しい。

移民の数が増えつつあるが、最近は特にソマリア系の移民が目立つ。長いドレスとスカーフを被っている女性を以前より多く見かける。オーストラリアも随分変わったなぁ、と思う。初めてオーストラリアを訪れた17年前には、移民のほとんどはベトナム系か中華系しか目にしなかったように記憶している。

ところで、メルボルンにも共用自転車がお目見えした。
しかし何故か、共用自転車では世界の先がけであるパリのVelibほどは普及していない。目抜き通りでもご覧のように7台しか設置できていない。これにはちょっとした理由があるらしい。

一昨日の新聞によると、ビクトリア州の法律では自転車走行時は必ず、ヘルメットの装着が義務付けられているので、ヘルメットを持たない人や観光客はこの共用自転車を利用できないのだ。共用自転車のいいところは定期的に乗らない人でも臨機応変に利用できる点なのだが、ヘルメット着用となると、乗れる人が限られる。
州政府は共用自転車利用の人たちに、フランス製の折りたたみ式ヘルメットの支給を検討し始めたそうだ。しかし定期的に使わない人や観光客はどうするのか・・・。結局、すべての人には利用できないシステムなのだ。

共用自転車はすでに世界の350の都市に普及されて(そんなたくさんの都市にあるとは知らなかった!)いるらしいが、この中でも一番法律が厳しくて普及が進まないのはオーストラリアだそうだ。エコの面からも車より自転車の移動の方がいいので、政府も強く自転車利用を勧めているのだが、厳しい法律との狭間で州政府は頭を痛めているそうだ。

もう一つ、オージーの厳しい規則を象徴する事実。
ビクトリア州の車のスピード制限は本当に厳しい。10キロでもオーバーするとすぐにチケットを切られる。
一方、ヨーロッパはむちゃくちゃ甘いので、その気分で走っていたら私たちもチケットをしっかり頂いた。
ちなみにビクトリア州が課すスピード違反の罰則金の総額は英国全体のの罰則金とほぼ同額とか・・・
これってすごい、罰則金取りまくって州政府の財政はホカホカに潤っているのだろうか。
スピード違反ドライバー様様である。

2010年8月29日日曜日

INAKA Life その2

田舎ではお水は天の恵みに頼っている。雨水が飲料水、生活用水になる。なので水道会社から水道菅を引いたり、水道料金を払う必要はない。
雨水は軟水なので、とてもおいしい。パリのように硬水で石灰石が含まれることがないので、ケトルやコーヒーメーカなどの家電の管理がとても楽だ。

しかし、天の恵みはいつも微笑んでいるとは限らない。今は冬で雨量が多いので、タンクの水は満タンどころか、あふれ出している。調理もシャワーも使い放題に使える。だけれど、夏になると乾燥し、雨量が減るので給水タンクの水の量は減る。夏は節約しながら使わないと乗り越えられない。いよいよ、給水タンクの水がなくなると、水道会社の給水車が水を売りに来るらしい。

我が家には2つの給水タンクがある。双方とも、25,000リットルの水を溜めることができる。左の白い管がついているタンクが屋内に直結し毎日使うタンク。右のタンクは条例上は私たちのタンクでなく、CFA(地方消防局)が使用権を有するタンクである。山火事の多いオーストラリアでは、各戸に必ず、CFA用のタンクを自分たちの費用で1つ備えることが義務付けられている。CFAの判断で使うので必ずしも自分の家の消火だけとは限らない。隣の家や林が燃えていたら、近所の水をかき集めて消火活動を行う。つまりコミュニティの備蓄水ともいえる。
こういう準備体制を見ると、オーストラリアの自然の厳しさを肌で感じる。

上の写真。「オーストラリアでは左側走行をしてください」という立て看板。
うちの前の道路から大通りに出る角の左右に立っている。
今さら何で?こんな田舎にこんな標識が何であるのかすごい不思議だった。
近所の人に聞いたら、数年前に、右側通行のアメリカ、カナダの観光客が逆走して、死者が出る大事故がこの近辺で数回あったので、それ以来、警察が北米観光客向けに注意喚起の標識を立てたそうだ。
確かに北米の人がオーストラリアに来ると、すべての感覚(言語、道路の幅、町並み、家のサイズなど)が似ているので外国にいる感じがせず、つい自分の国にいるような錯覚に陥ってしまうのだろう。
一方、パリで運転するとあまりにも違いすぎて、いつも「外国」を意識し緊張するので、かえって逆走なんていう大事故は起こらないのかもしれない。

楽ちんなオーストラリアにも色々な危険が潜んでいる・・・

2010年8月28日土曜日

INAKA Life その1

都会育ちの私にとって、田舎の生活は新たな発見が多い。面白い面と苦労する面が共存している。
昨日はお隣の家を訪ねた。お隣は広大な牧草地を所有していて、数百の羊を放牧している。お宅の玄関に入ろうとしたら、羊とアルパカが私たちを出迎えてくれた。上の写真の首の長いのがアルパカ。
生まれて初めてこの目でアルパカを見た。アルパカを飼っている理由は子羊をキツネから守るためだとか。結構、体格が大きいのでキツネを追い払うのに役に立つそうだ。でももう1匹いたアルパカはちょっと前に大型犬に噛まれて死んだそうだ。体格は大きいが猛獣性はないらしい。ふーん、そうなんだ、そんなの知らなかった。アルパカってちょっと間の抜けた顔をしているが、何となく憎めない動物である。

お隣の訪問後、海岸まで車で走っていたら、上の写真のように、牛が搾乳時間で納屋に戻るため道路を横断していた。「これから搾乳するの、それとも搾り終わったの?」とMon mari に聞くと「おっぱいを見ればわかるでしょ」、と。なるほど、おっぱいはかなり張っているのでこれから乳搾りか・・・

百頭以上の行列の横断はおよそ15-20分くらいかかる。車は止まって、牛の横断が終わるまで待つ。田舎暮らしは動物や自然(天然資源)が優先されるので、人間には忍耐が求められる。気が短い人は田舎には住めない。短気な私は相当な努力と我慢が必要になる。

上の写真はうちの庭からすぐ見える牧草地。緑のじゅうたんを敷いたような、なだらかな丘陵地にたくさんの牛がいる。この牛たちは牛乳でなく、食用のお肉になるらしい。

この牛たちに近づくと、「あんたたち、誰よ?」と言わんがかりの顔でじっとこちらを見る。こういう大型動物との触れあいは私にとって、とても不思議な時間と空間である。アフリカのゲームパークで見た動物はあくまでも観光地の鑑賞動物だったが、ここにいる牛や羊や馬たちは自分たちの生活の一部になり、一体感を感じる。彼らは立派な隣人(獣)である。

のんびりとした生活もいいが1週間いると飽きてくる。やっぱり来週あたりは都市に戻りたいな・・・

2010年8月25日水曜日

Oz again!

朝7時、シドニー着。
1年ぶりのオージー訪問。
38度近い東京から、10前後の真冬の国に来るのは辛い。
でも、カンタスの機体に「Spirit of Australia」と書かれているのを見たらオーストラリア・スピリットにまた触れる嬉しさがにじみでてきた。

そうそう、シドニーにもKrispy Kreme があったけど、朝だったせいかガラガラだった・・・
やっぱり日本だけなのか、あれだけの行列を作るのは。それほど人気があるのなら、成田空港や東京駅にも出店すればいいのに・・・

シドニーから国内線に乗り継ぎ、メルボルンに午前11時に到着。
その足ですぐ、グレート・オーシャン・ロードのブッシュ・ハウスに向かった。
1年も家を放置していたので、どうなっているのか不安だったが、特に劣化もなくほぼ1年前のままだった。

さて、これから内装の打ち合わせで、忙しい数日が続く・・・

2010年8月19日木曜日

転ばぬ先のくつ下

今受講しているコースは女性の保健学。
受講生は臨床現場で働いていたり、大学で教えている人たち。
毎日、健康に関する情報が行き交い、とても勉強になる。

今日はくつ下の話になった。多くの人が「5本指ソックス」を履いているのがわかった。巷では女性の間で結構流行っているらしい。
この暑いのに5本指なんて蒸れて気持ち悪いんじゃないの?と聞くと、「その反対、一度これを履くと、夏でも離せないのよ!」とのこと。水虫の予防にもなるとか。

そして一番の効力は転倒防止になることだそうだ。
駅の階段などでこけることが多かったこの女性は、5本指ソックスが履くようになってから転ばなくなったそうだ。1本1本の指に力が分散して足の踏ん張りが効いて足指のバランスがよくなり、転ぶことが防げるとのこと。整形外科の先生も転びやすい女性や高齢者には5本指ソックスを履くように勧めているらしい。

そうか・・・ 私も時々、コケることがあるので、5本指ソックスを2-3足買ってパリで履いてみようかな・・・?

2010年8月14日土曜日

細胞 記憶力 聴力

先日、友人のお宅にお邪魔して、1歳9ヶ月のアユミちゃんと遊んだ。
去年の5月にアユミちゃんと会った時はまだ6ケ月の赤ちゃんだった。
しかし1年3ヶ月の間の成長と変化には本当に驚いた。
言葉も相当話すようになり、すでに大人顔負けの語彙力を持っている。
私たちが何か一言言うと、その言葉に関連した新たな言葉を口にする。
子どもの新鮮な細胞は新たなものをどんどん吸収して、日々進化しているのだと感じた。そして、記憶力、聴力がずば抜けて優れている。

1年3ヶ月で私は何ができるのだろうか?英語もフランス語もこんな短い期間で習得できなかった。
すでにアユミちゃんの日本語のレベルは私のフランス語のレベルよりはるかに上だ。
可愛い寝顔を見るとまだ小さな子どもだが、可能性は私たちの数十倍、数百倍も持っている。本当に羨ましい・・・。

もし今何が一番欲しいかと聞かれたら絶対に、子どもの新鮮な脳細胞、と答えるだろう。

2010年8月11日水曜日

閉鎖的な知の共有

最近は東京に来ると必ず図書館に行く。
当然、和書は海外で閲覧できないので、短い滞在中に精力的に行きまくる。

自宅の近くの早稲田大学の図書館。
部外者は完全にシャットアウト。同窓生は入館できるらしい。なんて心が狭いのかと最初は驚いた。

メルボルン大学のコースで必要な文献を入手するために、慶応医学部と東京女子医大の図書館によく行った。
慶応は図書館に入ることはできるのだが、コンピューで文献検索ができなかった。職員に聞くと、ナントカ会という同窓会メンバーでないと学内のデータベースにアクセスできないとか。信じられなかった。事情を説明して、慶応の先生の指導の下で研究をしていると言ったら、今回切りという条件で検索を許された。コピーも部外者は1枚50円と暴利と思える値段だ。先生にお願いして、職員用の1枚10円のコピーカードを買ってもらった。女子医大は検索は自由にでき、コピー料金も内部外部の者とも同一料金だった。が、蔵書は慶応の方がはるかに多いので女子医大は結局、あまり利用しなかった。

最近は国会図書館にも行くようにしている。
日本で発刊されたすべての書物が保管されている。マンガ、ファッション誌まである。絶版された書物もしっかりあるので助かる。
しかし、ここは図書館という雰囲気がなく、無機的な場所である。
まず、書棚へのアクセスができないので本をパラパラと見てから決めることができない。無論、借りると決めた本はあるものの、やっぱり図書館とは本棚で関連図書をあれこれ見て決めるのが私は好きだ。
コンピュータ検索して、申し込みして本を借りる。本を手にするまで15分から20分かかる。自分で書棚から好きな本を取って受付に持っていけば5分で済むが、厳しい管理が行き届いているあまり、とにかくすべてに時間がかかる。コピーも職員がするので、枚数に関係なく申し込んでから20-30分以上はかかる。コピー代は1枚25円と安くない。
一度の貸し出しに本は三冊、雑誌・季刊誌が三冊と決められているので、三冊以上借りたい場合は一旦返してから、再び同じ手続きを踏まねばならない。昨日は8冊のジャーナルを借りてコピーしたので、3回の貸し出しとコピーの手続きを繰り返した。1時に入館して、出たのが5時過ぎ。半日がかりだ。
そして、館内の飲食は厳禁。本を読みながら、水一杯も飲めない。
この暑い夏、水くらい飲ませてくれてもいいのに・・・。飲食は6階の食堂か指定された喫茶室のみ。ちょっと喉の渇きをいやすのに、6階までいって戻るまで15分くらいかかる。

英国の大学の図書館は皆、飲食OKである。お昼を食べながら勉強している学生は一杯いる。そしてどこの大学でも部外者は自由に入れる。部外者への貸し出しはできないが、書棚へのアクセスはもちろん可能だ。必要であればコピーもできる。英国の図書館は学生や内部者だけでなく、広く市民に開放して知や情報を共有、普及する目的を持っていると感じる。
一方、日本では情報は内部者のみを対象にして閉鎖的だったり、また蔵書の乱丁、汚れや紛失を懸念するあまり異常なほど管理され過ぎて、利用者にとってはとても利用しづらくなっている。日本はもっと寛大にかつ簡易に知の共有を促進すべきと思う今日この頃である。

2010年8月4日水曜日

久々の日本


昨日、東京に戻った。
パリを出る日、空港に行く直前に雷雨。どうしよう・・・
タクシーがつかまらない。
空港行きの電車は私の乗るターミナル1に止まらないので、バスでいくことにした。バスが出発するモンパルナス駅までMon mari に送ってもらったが、結局ターミナル1まで1時間半もかかった。何とか無事、チェックインを済ませて搭乗を待っていたら急きょ呼び出され「ビジネスクラスにアップグレエードいたします」と言われた。ウヮー、とってもラッキー。以前はよくこういうことがあったのだが、最近はあまり搭乗していないのでそんなことないと思っていたが、ANAの生涯マイルはかなり貯まったのでそのせいかな?

いやぁ~、でも東京はめちゃくちゃ暑い。
でもクーラーがある分、パリより過ごしやすいともいえる。
東京に来ると、色々と用事がある。
歯医者、検診、買い物、友人たちとの久しぶりの再会などなど。
時間が過ぎるのが早い。

来週からはメルボルン大学のコースがあるので、その発表準備などもある。
その合間に論文の修正もしなければならない。
夏休みだけど浮かれ気分になれないのが辛い。

あと東京に来ると、我が家の猫どもと遊べるのが楽しい。
パリのアパートはペット禁止なので、猫とのふれあいは至福のときである。
上の写真は、メスのチーコ、7歳、人間で言うと40代半ばの中年猫。
写真嫌いなので、カメラを向けると眠っていてもすぐ起きて逃げる。
必ず新聞や本の上に寝て、テレビが大好きで、国会中継、予算委員会をじっと見ている不思議な猫。