2010年8月11日水曜日

閉鎖的な知の共有

最近は東京に来ると必ず図書館に行く。
当然、和書は海外で閲覧できないので、短い滞在中に精力的に行きまくる。

自宅の近くの早稲田大学の図書館。
部外者は完全にシャットアウト。同窓生は入館できるらしい。なんて心が狭いのかと最初は驚いた。

メルボルン大学のコースで必要な文献を入手するために、慶応医学部と東京女子医大の図書館によく行った。
慶応は図書館に入ることはできるのだが、コンピューで文献検索ができなかった。職員に聞くと、ナントカ会という同窓会メンバーでないと学内のデータベースにアクセスできないとか。信じられなかった。事情を説明して、慶応の先生の指導の下で研究をしていると言ったら、今回切りという条件で検索を許された。コピーも部外者は1枚50円と暴利と思える値段だ。先生にお願いして、職員用の1枚10円のコピーカードを買ってもらった。女子医大は検索は自由にでき、コピー料金も内部外部の者とも同一料金だった。が、蔵書は慶応の方がはるかに多いので女子医大は結局、あまり利用しなかった。

最近は国会図書館にも行くようにしている。
日本で発刊されたすべての書物が保管されている。マンガ、ファッション誌まである。絶版された書物もしっかりあるので助かる。
しかし、ここは図書館という雰囲気がなく、無機的な場所である。
まず、書棚へのアクセスができないので本をパラパラと見てから決めることができない。無論、借りると決めた本はあるものの、やっぱり図書館とは本棚で関連図書をあれこれ見て決めるのが私は好きだ。
コンピュータ検索して、申し込みして本を借りる。本を手にするまで15分から20分かかる。自分で書棚から好きな本を取って受付に持っていけば5分で済むが、厳しい管理が行き届いているあまり、とにかくすべてに時間がかかる。コピーも職員がするので、枚数に関係なく申し込んでから20-30分以上はかかる。コピー代は1枚25円と安くない。
一度の貸し出しに本は三冊、雑誌・季刊誌が三冊と決められているので、三冊以上借りたい場合は一旦返してから、再び同じ手続きを踏まねばならない。昨日は8冊のジャーナルを借りてコピーしたので、3回の貸し出しとコピーの手続きを繰り返した。1時に入館して、出たのが5時過ぎ。半日がかりだ。
そして、館内の飲食は厳禁。本を読みながら、水一杯も飲めない。
この暑い夏、水くらい飲ませてくれてもいいのに・・・。飲食は6階の食堂か指定された喫茶室のみ。ちょっと喉の渇きをいやすのに、6階までいって戻るまで15分くらいかかる。

英国の大学の図書館は皆、飲食OKである。お昼を食べながら勉強している学生は一杯いる。そしてどこの大学でも部外者は自由に入れる。部外者への貸し出しはできないが、書棚へのアクセスはもちろん可能だ。必要であればコピーもできる。英国の図書館は学生や内部者だけでなく、広く市民に開放して知や情報を共有、普及する目的を持っていると感じる。
一方、日本では情報は内部者のみを対象にして閉鎖的だったり、また蔵書の乱丁、汚れや紛失を懸念するあまり異常なほど管理され過ぎて、利用者にとってはとても利用しづらくなっている。日本はもっと寛大にかつ簡易に知の共有を促進すべきと思う今日この頃である。

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