2010年4月14日水曜日

終わりを迎えられた始まり

物事を始めると終わることと、必ずしも終えられない事がある。
終わりがなかなか見えないことの一つに、博士論文の執筆という作業がある。途中での頓挫、挫折は珍しいことではない。

今週の月曜に博士論文を提出した。
2005年から始めてから5年間という長い長いマラソンだった。
パートタイム学生として始めたので、どうしても中途半端な気持ちがあった。
5年のうちに身内の死、そして仕事を3つも入れたので、中断も多かった。

博士課程を始めた頃は高い情熱と期待感で一杯だったが、次第に自分のやっている研究が本当にちっぽけなことだとわかるとそんな高揚感も長続きせず、中盤以降は無気力感、意欲低下、焦燥感、不安感などが支配してきた。単調で孤独な毎日、社会から隔絶される焦り、全く書かない、書けない時期もあり、何度も止めようと思って、現実逃避のための言い訳をよく考えた。そして自分には英語の博士論文なんてどだい無理ではないか、という自信喪失感が強くなってきて、精神的な管理は大変だった。一方で、今は亡き母がよく口にしていた「事を始めたら、途中で投げ出してはいけない」という言葉がいつも頭から離れなかった。

始めてから3年間は宙ぶらりんで、ほとんどまともに書いてなかった。転機が来たのは4年目に指導教官が変わったこと。若手の先生でバリバリに管理をする人だった。章ごとの提出は必ず期限を切られ、遅れると催促のEメールが来た。こうしてお尻をひっぱたかれて実質2年で一気に書いた。最後は気が変になりつつも、投げ出すことも許されず前に進むしかなかった。

まだ内容的には自分でも納得できてない部分も多いので、審査では多くの修正を求められるだろうが、とにかく「出せた」という事実は大きな励みと自信になった。

ここまで来れたのは、今まで支えてくれた家族や友人たちのお陰であり、心から感謝しています。
本当にどうもありがとう。

6 件のコメント:

サヨクマ さんのコメント...

お怪我は大丈夫ですか?

そして、博士の提出、おめでとうございます!!本当にお疲れ様でした。
これまで5年間のご苦労が、なんだか自分のことのように身に沁みて感じました。
機会がありましたら、ぜひ論文を拝読させてくださいね(分かるかどうか怪しいですが…)。

どうぞ、パリに戻られたら、ゆっくりと体を休めてパリ散策に出かけられてくださいね。

Machiko さんのコメント...

博士論文の提出おめでとうございます!!長い長い道のりだったと思いますが、本当におつかれさまでした。論文を提出するときというのは、大きなプロジェクトを1つ終えるような感じなのでしょうか・・。私はまだまだこれからですが、がんばります。どうぞゆっくりと羽を休めてください!

フェリン猫姫 さんのコメント...

サヨクマさん、ありがとうございます。
この5年間、サヨクマさんにも色々お世話になり、たくさんのことを教えていただきました。本当に感謝してます。
論文はまだ最終版ではないので、審査を終えて、ハードカバー製本が出来た頃(多分、秋ころ)にお見せできると思いますが、内容的にはよくご存知のことなので、たいしておもしろくないと思います(笑)。
パリは天気もいいので、町の散歩を楽しみます。

フェリン猫姫 さんのコメント...

Machikoさん、コメントありがとうございます。Machikoさんにはフィールドの頃から本当にお世話になり、感謝をしてもしきれないほどです。Machikoさんがおられなかったら、ここまで来れなかったと思います。そういう意味で、博士論文って自分だけの成果でなく、多くの方の助けやご協力をあわせて作られた賜物なんだと思います。1つのプロジェクトを終えたという達成感より、周囲の皆さんに本当に感謝の気持ちがたくさん湧いてくる感じです。
Machikoさんもこれからフィールドや論文執筆など長い期間、多くの作業があり、悩むこともあると思いますが、どんなときも絶対に終えられると信じてくださいね。
本当に色々とお世話になりました。
Machikoさんも頑張ってください。

Mimi さんのコメント...

Congratulations! Great to know you made it!!!! Being a Ph.D student is such a long stressful life, I remember. Especially impressive considering you also did consulting work and household work. Time to relax a bit, I hope. Shall we plan a party? Mimi

フェリン猫姫 さんのコメント...

Thanks, Mimi. Yes, you know how hard to go through this life as you have already experienced. But I am now very happy to finish off the thesis, as I have always been tied up with boring life. Well, party should be organised when I get the degree. For the time being, let us get together for cafe or a glass of wine...