2009年12月16日水曜日

それぞれのクリスマス・ケーキ

日本でクリスマス・ケーキというと、丸いスポンジケーキに生クリームやバタークリームを塗った、いわゆる不二家風のデコレーション・ケーキである。幼いころからクリスマスケーキというものはそういうもので、また万国共通と思っていたが、ヨーロッパに住み始めてそれぞれの国ごとにケーキは違う形と味をしていることを知った。

まず、フランスのクリスマス・ケーキは「ブッシュ・ド・ノエル」と言う。ブッシュ(bûche)とは「木」とか「丸太」というような意味。写真の如く、ケーキを丸太に見せたロールケーキ。お味はピンからキリまであるが、まあ私としては所詮ロールケーキの域から出ない代物。日本でも食べられるようなケーキ。とにかくそこらで買うフランスのケーキは見た目は美しいのだが、ものすごく甘いので、ちょっと苦手。


次に英国のクリスマス・ケーキは「クリスマス・プディング」という。フルーツケーキをブランデーで漬けて熟成させた超リッチな菓子。下の写真は一番小さいサイズだが、大きいものだと陶器に入ってコットンの布に巻かれており、蒸してからいただく。

蒸し終わったあとは、ブランデーをかけ火をつけて青い炎を楽しみ、その後たっぷりとカスタードクリームをかける。
フルーツケーキと思って軽く行けると甘く考えるととんでもない。これがものすごい重くてしつこいのである。食事をした後に、下の写真の分量を食べるのは至難の技。食べ終えた暁には、ほとんど鼻血ブー状態。とにかくイギリスのクリスマス・プディングをもてなされた際は、必ず厚さ2センチ以下に切ってもらうことにしている。


そして、次のケーキはイタリアの「パネトーネ」。一見、パンに見えるが、実際パンなのだ。レーズンやオレンジピール、ドライフルーツが入っている。しかしこの何の変哲もないパンを口にすると、なんとも言えない絶妙な舌触りと奥深い味がするのである。クリスマス・ケーキとしてはアイシング・シュガーをかけて食べる。ミラノ発祥の菓子で、「パネトーネ」とはアントニオという人が作ったパン、という意味らしい。特殊なイースト菌を使っているので、イタリア国外で手に入れて作るのはかなり難しいとか。なので日本ではパティシエは本物のパネトーネは作れないはずなので、多分輸入でしか手に入らないと思う。


これがパネトーネが入った箱。毎年、クリスマス前になるとイタリアの国内線にはこのパネトーネの箱をぶら下げて搭乗するイタリア人で一杯になる。皆、パネトーネをおみやげに「おらが村へ帰るべ」と家族の所に向う。なんとも微笑ましい光景である。

その他、ドイツもフルーツケーキのようなパンの上にアイシング・シュガーをつけた「シュトレン」というのがあるが、こちらのスーパーでみたことはあるものの、まだ食べたことはない。今度挑戦しよう。

「ブッシュ・ド・ノエル」、「クリスマス・プディング」、「パネトーネ」の中で、私はイタリアのパネトーネが一番好きである。この時期はクリスマスが始まる前から、ミニパネトーネを買ってきて、おやつにむしゃむしゃ食べている。

2 件のコメント:

サヨクマ さんのコメント...

こんばんは!
パリでもう降雪とは。
きっと交通もマヒして大変でしょうね…。
写真から、寒さが伝わってきます。

クリスマスのお菓子シリーズは魅力的な写真ばかり。私は子どものようですが、子どもの時食べたブッシュドノエルが懐かしいです。あれを同じものを探しているのですが、なかなかないのですよねぇ。今年は近所のアマンドで頼みましたが、チョコ味のバタークリームということで、またもや期待を裏切られそうです。

温かくして、よいクリスマスをお迎えください!

フェリン猫姫 さんのコメント...

ブッシュ・ド・ノエルは私も2回くらいしか食べたことなく、いづれも近くの店で買ったせいか、あまりにも甘くて歯が溶けそうになりました。日本では通販で売っているようですが、冷凍されてくるのでお味がどうなのかちょっとわかりません。有名なパティシエの店だと作っていると思いますが、お値段も張るでしょう。私は今年はブッシュ・ド・ノエルを自分で作ってみようかと思案中です。もし成功したらご紹介しますね。
サヨクマさんもよい年末年始をお過ごしください。