2009年11月24日火曜日

サムの死

これは世界中で有名になった一枚の写真である。
今年の2月に発生したオーストラリア南東部の山火事での救助活動の中の一風景である。
このコアラ、「サムちゃん(女の子)」と名づけられた。地方消防局の人があげた2本のペットボトルの水を全部飲み干したそうである。この写真のインパクトがあまりにも強かったので、4月のG20の際の気候変動の会合でもサムの話が出たほどとか。
でも、結局火事の半年後の8月にサムは亡くなったそうだ。オーストラリアのラッド首相が、サムへ追悼の言葉を述べたほど(本当は国葬にしたかったらしい)国民のアイドルだった。

昨日の英ガーディアン紙に、何故か今頃コアラ特集が掲載された。
それによると、このままで行くとコアラはこの30年の間で絶滅すると予測されているらしい。気候変動、開発によりユーカリの木が消滅して住む場所がなくなっていくのが原因。特にオーストラリア与党労働党、野党保守党の間でコアラの保護に関して対立する政策を取ってきたので、コアラの生存が政治にいつも振り回されてきたのだそうだ。開発や企業の利益を優先する保守党はコアラの繁殖抑制をし森林を伐採する一方(コアラハンターもいるらしい)、環境やグリーン系のグループから圧力を受ける労働党はその逆の政策を取ってきた。また伝染病などによる人口減少も深刻だそうだ。ちなみサムちゃんは火事の後遺症でなく、コアラに蔓延しているクラミジアで亡くなったそうである。

コアラは体のサイズの割りには脳みそが極端に小さく、ほとんど1日中寝ているか、ユーカリの葉をむしゃむしゃ食べているかのどちらかで、「退屈な動物」と揶揄する人も多いとか。でも、コアラは愛らしく希少な動物なので、コアラ見たさに世界中から旅行客がオーストラリアに来る。もしコアラが絶滅したら国の観光収入が無くなると、与野党の政治家は危機感を持ち始めているらしい。

たかがコアラ、されどコアラ、オーストラリアの環境、観光政策ではすごい重要な課題になり始めている。

2 件のコメント:

サヨクマ さんのコメント...

こんばんは!
サムちゃん、可愛いですね。
でもコアラも絶滅の危機に瀕しているとは知りませんでした…。

私が子供の時日本に来て、コアラブームが起こったのを覚えています。私も親に写真集をねだって、いつも枕のそばに置いているほどでした。いたずらブリンキーというコアラの男の子を主人公にした子供向けの本も、今だに実家にあります。でも実物に会ったことはこの年になっても未だにありません…。

アマゾンの不気味な動植物であれば、そんなに気を惹きませんが(少なくとも私は)、コアラとなるとまた違ってきますね。

それにしても、いつも面白い写真ですけれど、どこから見つけてこられるのでしょうか?

フェリン猫姫 さんのコメント...

サヨクマさん、コメントありがとうございます。確かに昔、コアラブームがありましたね。コアラのマーチとかいうお菓子まで出たの、覚えてます。
絶滅というのはかなり大げさな発言だと思いますが、ただ追いやられていたり、あと人口が少しでも増えると、殺されたり、不妊手術をされるそうです。道端にもたまにコアラが車にひかれて死んでいるのも見ますし・・・今度、オーストラリアに遊びにきてください。
この写真はオーストラリアの友人から送られたものです。サムちゃんは写真だけでなく、youtubeの映像でも、Thirsty koalaと検索すると見られますよ。