今日、フランスは休日である。「Armistice de 1918」。
1918年第一次大戦休戦協定の日である。
休戦協定は連合国とドイツ帝国との間で、1918年11月11日に締結された。この日にちなんで、11月11日の午前11時にはフランスをはじめとして欧州諸国では黙祷を捧げる。今年は、サルコジ大統領とドイツのメルケル首相が凱旋門での式典に参加した。
Armistice dayは英国ではRememberance Dayとも呼ばれ、同じく大々的に行事が開催される。女王はじめ、首相、議員、外交団、退役軍人、戦没者遺族など、多くの人がウェストミンスター寺院に集まって、同じく11時に2分間黙祷を捧げる。昨今は、第一次大戦だけでなく、イラクやアフガニスタンで命を落とした兵士たちへの哀悼の意も含まれてい るようだ。
この頃になると英国では、ポピーの花を胸につけている人が町中にあふれる。これは第一次大戦で犠牲となった戦没者とその遺族へ募金を集めるために赤いポピーを売ったのが始まりだそうだ。日本で言うと、赤い羽根募金のようなものだが、こちらではもう少し政治的な意味が含まれている。休戦協定日に一番近い日曜日は「ポピー・デー」とも言われている。ちなみにフランスにはポピーをつける習慣はない。
第一次大戦の一番の激戦区だったフランス、ベルギーをまたがるフランドル地方には、たくさんのポピーが咲いていて、その赤い色が傷ついて命を落とした兵士の血のように映った。そういう背景から、ポピーが戦没者への哀悼のシンボルになったそうだ。
第一次大戦は第二次大戦より被害が大きかったので、欧州人には深く記憶に残っているとも言われている。フランス北部のカレー市に行く途中にも、4ヶ月間で100万人近くの英仏独の兵士が亡くなったソンムの戦いが行なわれた地域があるが、そこを通るたびにMon mari はその戦禍のすごさを物語る。
2つの大戦では、欧州人は深く傷つき悲しみを味わったので、世代や国境を越えて人々は戦争の記憶を忘れることなく心に留めているのを感じる。そして自国民だ けでなく戦争で傷つき亡くなった全ての人に対して哀悼の意を示す。だから、東ヨーロッパで起こる戦争や民族浄化などには敏感に反応し、自分たちが過去に犯した過ちを二度と起こすまい、という強い信念や行動が端々に表れる。
日本は終戦記念日には、戦没した日本の兵士や市民には哀悼を捧げるが、欧州人のように大戦で犠牲になった多くの他国(主にアジア)の人たちに対してまで想って祈りを捧げるだろうか。欧州にいると、彼らのように広い心と視野をもって戦争の問題を意識し内省しないと、真の哀悼にはならないということをあらためて教えられる。
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