2010年10月22日金曜日

根比べ

フランスの年金改革に反対するストのニュースは連日、世界を駆け巡っている。
もういい加減どうにかしてよ、と思いつつも今回は労働者も相当頭に来ているのか、スト解除を見せるどころか、昨日はさらに10日延長、11月6日までのアクション・プランまで発表した。

地下鉄やバスは本数は減っているが走っているし、街にいる限り生活必需品などの供給は問題ないが、困ったのがガソリン、ディーゼルの供給が極端に減少していることだ。
今日、フランス警察は石油の供給を止めている12の精油所の数箇所に突入して労働者が張っているバリケードを破って、催涙ガスを発砲した。段々と、戦争のような形勢になっている。

ガソリン供給が途絶えているため、閉鎖したガソリンスタンドも増えている。なので開店しているスタンドはどこもすごい車の行列。上の写真は我が家の近くのスタンドだが、今日も給油待ちの10台前後の車が道路まであふれだしていた。Mon mari も一昨日、このスタンドで給油したが、1時間待ちだったそうだ。道路にあふれた車は、道を通過するだけの車両やバスをブロックしてしまうので、苦情のクラクションが耐えない。このところ、このスタンド近辺だけでなく、あちこちから異常なクラクションの音がひっきりなしに聞こえるが、似たような状況の渋滞だと思う。

年金改革は双方とも譲ろうとしない。どっちが先に折れるかの根比べである。
年金支給開始年齢を60歳から62歳に、満額支給を65歳から67歳に引き上げるという計画だが、昨日のフランス労働組合員の話だと、62歳はそれほど問題でなく、ほとんどの労働者が反対しているのが、満額支給が67歳になることだそうだ。2年の延長とは言え、足りない分は身内のきょうだいや子どもたちが援助しなければならないので、結局、若い人にその負担を強いる悪法だと主張していた。それでもフランスは日本と違い、出生率が増加しているので、将来的に年金の存亡の危機がない分、恵まれていると思う。

日本も対岸の火事ではないな、と思った。多分、私が年金を受給する時期には、満額支給は70歳から、なんていうことになるかもしれない。仮ににそうなっても、日本はフランスのように、こんな大量の労働者が数ヶ月という長期間にわたってストなんてしないだろうな・・・ そんなことをすると毎日の経済活動に支障がきたし、自分たちの今日明日の生活が影響を受けるから、とか言って諦めて、結局政府の方針に従ってしまう気がする。フランス人のスト好きは世界的に有名だが、今回は結構近隣の国々にも飛び火する可能性があるそうだ。

一昨日、英国は向こう3年間のSpending Review (公共支出の見直し案)を発表したが、キャメロン政権は銀行セクター以外のほとんどの分野において20%の予算カットを決定したそうだ。当然、年金を含む社会保障費も含まれるので、英国人も近いうちに大規模ストを始める可能性があるらしい。

今年の冬はあちこちで、労働者が闘争する光景を目にするかもしれない。

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