2010年7月21日水曜日

もう聞かないで!

博士課程の生活は結構暗い。光の見えないトンネルの中に何年も住んでいるような生活。
そういう時に色々と研究のこととか、進捗とかを根堀り歯堀り聞かれるととても辛い気分になる。

以前、メルボルン大学の先生たちとMon mari と私とでランチをしたことがある。先生たちは私の論文について色々聞いてきた。
そしたらMon mari は「彼女はあまり話したがらないんだよね・・・」とボツっと言った。

彼らによると博士学生には2つのタイプがあるらしい。
1つはとにかく話したくてしょうがない人。
「君はどんな論文を書いているの?」と軽い気持ちで聞くと、20-30分くらいは止まらない状態で一人で酔いしれて話し続ける学生。聞いた方は心の中で「しまった、聞かなきゃよかった・・・」と思うくらいうんざりしつつも、止め処もなく続く話に耳を傾けねばならない。
2つ目のタイプは多くを語りたがらないちょっと秘密主義的なタイプ。
理由はいろいろあるだろうが、特に執筆が行き詰っていて思うように進んでいない場合。要は暗いトンネルの生活の逐一を聞かれて話したくない精神状態になっている学生。

私は完全に2つ目ののタイプだった。
メルボルンの先生は、「そうそう、確かにそういう学生いるわよね。いつだったか、"Don't ask about my Ph.D!" と書いてあるTシャツを着た学生を見たことあるわ。論文書いているというと、色々な人から興味深々と聞かれるけど、学生は机に向かっている時以外はもう考えたくないのよね」と言っていた。

まさに私も論文生活の後半はそんな気分だった。
Mon mari も時々、論文の内容を議論したり、執筆の進捗を聞いたりしたがったが、私は「もう何も聞くなオーラ」をムンムンと漂わせていたので、最後は腫れ物にさわるようにすごい神経を使って私に接していた。

そんな時、彼なりのブラック・ユーモアで私を笑わそうとしたのだろうか、写真のようなマグを通販でみつけてきてプレゼントしてくれた。
「Please don't ask about the thesis」 私の論文に関しては何も聞かないでください。

Tシャツやらマグカップやら似たようなメッセージ・グッズがあるというのは、かなり多くの学生が「頼むからもう触れないでくれ!」と心から叫んでいるのだと思う。

博士課程の学生と接触するときはくれぐれもご注意のほどを。

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