2010年5月13日木曜日

政治風刺

英国のガーディアン紙にSteve Bell という政治風刺を描く有名な4コマ漫画家がいる。
この人は、政治家の容姿の特徴や、時宜を得た滑稽な言動を的確に描写しているので私は大好きだ。歴代の首相や大統領、特にブレア、ブラウン首相、ブッシュ大統領など本当に笑える姿をしており話題も次から次と豊富に描かれていた。時々、エリザベス女王まで登場なさる。

英国の総選挙で保守党と自民党の連立政権が樹立され、キャメロン首相とクレッグ副首相が誕生した。
Steve Bell は選挙中からこの二人にスポットあてて頻繁に彼らを描いてきた。
特にキャメロン首相の姿は抱腹絶笑する。

キャメロン首相は43歳だが、なぜか顔がとてもツルツルしていてほとんどシワがない、というか目立たない(一説にはボトックスを使用しているとまで言われている)。漫画家はこのような特徴の顔はとても描きづらいのだそうだ。

あまりに張りとつやがある顔なので、それを強調するためか、キャメロンは赤ら顔で頭にコンドームをかぶされてしまっている。なぜコンドームなのかはSteve Bell にしか理由はわからないので、読者がそのわけを個々人で想像するしかないのである。ネットでも何故コンドームをつけているか多いに話題になっているが、ベストアンサーに「キャメロンの頭が男性器の形に似ているから」というのが選ばれているのには私も苦笑してしまった。

日本では政治家や皇室関係の人たちをこのような風刺漫画でからかい描くことなんて絶対にありえない。もし鳩山首相がコンドームを被っている漫画が朝日新聞などに毎日連載されたら、新聞社は恐ろしい政治圧力に遭い、社長以下、責任者が辞職に追い込まれるだろう。

英国では政治や社会の頂点に立つ人でもひやかしの対象になり、このような悪意のないジョークは広く受け入れられている。描かれている本人も特になにも反応はしない。それが社会に根付いたGSOH (Great Sense Of Humor)だからなのだろう。このようなおもしろおかしな風刺漫画が政治への関心や興味を高めることもあるし、また政治への強いメッセージにもなるのだと思う。

今後数年間、コンドームをつけたキャメロン首相が登場するSteve Bell の漫画を見るのは楽しみだが、一方で本物の彼をテレビで見るたびに、漫画の姿と重なって笑いが止まらなくなる自分の姿が容易に想像できる。

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