2011年3月15日火曜日

人災か?


フランスは電力の75%を原子力に依存している国家である。その理由からなのかよくわからないが、フランスの電気料金は諸外国に比べて安い。我が家 は2LDK (75平米)で、2ヶ月置きごとに来る請求が80-90ユーロ、つまり2ヶ月で1万円程、1ヶ月で5千円。日本の半分程度である。なので、こちらでは皆電気を平気でつけっぱなしにしている。英国に住んだときはあまりの電気の高さに驚き、節電の習慣がついた。英国人は夜中12時過ぎから早朝まで、そして日中はセントラルヒー ティングを必ず切るが、フランスではそういうことはしない(温度があがって暑くなれば別だが)。ちなみに英国の原子力依存度は15%程度。日本が25%程度な ので、そういう事情も電気料金と関係があるのだろうか?

福島原発が大変なことになっている。
津波で原子炉が壊れる・・・とはいえ、津波のない国や地域でも、「水に浸る」大洪水はあるのだから、同様の危険は将来想定する必要はある。

原発は地震でおこる揺れに関しては対策を講じて設計されていただろうが、まさか津波で機能不全に陥るという前例はなかったので、全く想定していなかった・・・というのが大体の憶測。

しかしそれを覆すような記事が知人から送られてきた。今回の事故は天災でなく実は人災であったと思わせるようなその内容は、2007年7月、共産党福島県委員会が東電に送った申し入れの中で明らかにされている。特に第4項には以下のように記載されている。

  4. 福島原発はチリ級津波が発生した際には機器冷却海水の取水が出来
    なくなることが、すでに明らかになっている。これは原子炉が停止されて
    も炉心に蓄積された核分裂生成物質による崩壊熱を除去する必要が
    あり、この機器冷却系が働かなければ、最悪の場合、冷却材喪失によ
    る苛酷事故に至る危険がある。そのため私たちは、その対策を講じる
    ように求めてきたが、東電はこれを拒否してきた。
     柏崎刈羽原発での深刻な事態から真摯に教訓を引き出し、津波に
    よる引き潮時の冷却水取水問題に抜本的対策をとるよう強く求める。

うーん、引き潮云々というのはちょっと状況が違うが、でも海水を取り込めない、冷やせないという問題が津波で起こることを指摘されていたのは事実である。つまり東電は津波と冷却機能の関連を認識していたがこれを無視し、何の対処も講じなかったということ。これが事実としたら東電は重大な過失を犯したとして刑事告訴されてもおかしくない。

原子炉1機は3000億円、4機つぶれて1兆2000億円。国民の払う代償はお金だけでなく、これ以外の健康被害、生産被害、生活被害など多くが含まれる。

原子力が二酸化炭素を排出しない「クリーンエネルギー」として日本や米国、欧州などで推進されてきているが、この事故により原発の功罪をきちんと見極めて国民議論をした上で政策転換をすることは絶対に必要である。

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