2011年1月30日日曜日

かめかめ

久しぶりの東京。
欧州と気温はほぼ同じだが、東京は寒くても陽が差すので、気分的に全然違う。なので散歩も苦でない。

実家の前は神田川。遊歩道は人と動物の散歩の場になっている。
我が家を含め、近所のお宅は皆、ペットを飼っている。
その中のあるお宅は巨大カメを飼っており、毎日お昼過ぎに遊歩道で散歩させている。
カメはケヅメリクガメ(アフリカ原産)と言い、リクちゃんと言う名前。後ろ足2本に赤い靴を履いている。

カメの散歩なんて聞いたことないので、テレビの取材も来たほどとか。
途中、犬猫などに遭遇しても、毎度のことであまりパニくらないようだが、なんとも奇妙な光景だ。

最近、日本人は変わった動物を飼う人が増えている。
いつか、浅草でイグアナを飼っている民家があり、やっぱり家の前で散歩させていた。リクガメもイグアナも亜熱帯の動物で外来種。この寒い日本に住むのは気の毒。
カメは長生きと言われるが、もしあと100年も生きるとしたら飼い主はどうするのだろう・・・?

猫を飼ってつくづく感じるのは、動物は飼い始めるのは簡単だが、長い期間にわたり面倒をみて、メンテしていくのは本当に大変である。

2011年1月22日土曜日

もうこれいや!

ちょっと前にワインのスクリューキャップについてお話したが、最近コルクにとても悩まされている。

フランスで売られているオーストラリアワインはフランス人のテイストに合わせて、コルク仕様がまだ多いが、ほとんどが合成樹脂のコルクに変わっている。
このワインもその一つ。

オープナーで開けるときはそれほど困難を伴わず、また本物のコルクのように失敗して、コルクが粉々に砕けでボトルに残骸が落ちる危険性もない。

しかし問題は開けた後なのだ。
開けた後は写真のような状態になるので、当然、オープナーからコルクを回して抜き出そうとする。
しかし、それが容易にできないのだ。
合成コルクは異様なほどコルクはらせんの金属にへばりつき、硬くて回そうと思ってもびくともしない。
結局はペンチを持ってきて、大奮闘してやっと取り出すことができた。
この作業を毎回することを考えたら、やっぱりスクリューキャップに軍配が上がったと確信した。

ところで、スクリューキャップの有効性に関しとてもよい本があるのを知った。
タイソン・ステルザーというオーストラリアのワイン・ライターが書いた「Taming the Screw(スクリューを使い慣らす」。
かなり科学的な実験をもってスクリューキャップの優位性を証明しているらしい。是非この本を読んで知見を高めてみたい。

ワインのスクリューキャップは酸素を完全密閉させるために特殊なアルミで作られているそうだ。
で、そのスクリューのほとんどはなんと、フランスで開発され特許を得ている「ステルヴァン」というブランドのものだそうだ。フランスが先進的に開発したスクリューキャップはフランスではほとんど普及しておらず、ニューワールド・ワインに確実に拡大している。
何とも皮肉な話であるが、フランスはまだ「コルクを開ける」という儀式を重んじる社会なのだからだろう。

2011年1月18日火曜日

教えてくれてありがとう。

最近、空港でみかけたHSBCの広告が結構おもしろい。というか知らないことをいくつか教えてもらった。
画像の文字はちょっと小さくて読みにくいので、解説を入れます。

「今現在、50万人以上の人が飛行機にのっています」
へぇ~、そんな多くの人が今、空の上にいるなんて想像もしなかった・・・

「東京にはパリの3倍のミシュランレストランがあります」
まあ、でも東京は人口もパリよりずっと多いし、何しろ和洋中、エスニックとレストランの種類も豊富だから当然かな?だからメタボになるという上の写真もおもしろい。これは結構、東京に関する良い宣伝になりそう。

「地球の80%の生物は海の中に生息しています。」
ということは大地の人間と動物はたった20%の生息物なのか・・・。海は生き物の宝庫。

「オランダは日本より醤油の輸出で稼いでいます」
え~っ、オランダが醤油を輸出している?オランダが醤油の生産拠点だったとは知らなかった!
多分、欧州、中東、アフリカあたりに輸出されるのかな?
昔、アムステルダムのオークラホテルの和食レストランに行ったら、オランダ人の客で一杯だった。オランダで和食がこんなに人気とは知らなかったのでとても驚いた。

「中東は世界で一番成長している観光地になっています」
観光産業が成長しているのはわかるけれど、クドラ(スカーフ)とイガル(黒い輪)を被って、中東のどこでスキーができるのかしら?イランあたりに有名なスキー場があるらしいけど、イランまで行ってスキーしたいかなぁ?

「漫画は、アメリカの子どもより日本の大人の方に人気があります」
日本人は漫画中毒のような印象を受けるね~。
ちなみに私は子どもの頃、漫画中毒で頭の中が漫画だらけになってしまい、漫画の過剰摂取からか、大人になってから、逆に漫画拒絶症になってしまいました。

「サハラ砂漠の太陽エネルギーの0.3%で、ヨーロッパ全体の電力をまかなうことができます」
そうなら、サハラの太陽エネルギーを貯めて、ヨーロッパに輸出できないのかしら?アフリカ・サブサハラの重要な収入創出活動になると思うんだけど・・・

2011年1月17日月曜日

退屈な人気映画

先週末、友人と久しぶりに映画を観た。
「アナザー・イヤー」という英国の映画。
私は監督のマイク・リーが好きなので、是非観たいと思っていた。
彼はユダヤ人労働者階級の家に生まれ育った。生い立ちからか、彼は社会派の映画を作り続けている。

正直言うと、ストーリーの劇的な展開もなく、退屈な映画の部類だと思う。
フランス人には絶対受けないと思いつつも、行ったら小さな劇場は観客で一杯だった。
多分、マイク・リーという監督が欧州ではとても有名だからなのだろう。
フランス人には何となくわかっても、迫力や刺激を駆り立てる物語ではない。
実際に、大きないびきをかいている客もいた。

もちろん、興行的面白みのない映画なので、単純映画が好きな米国人にも絶対に受けないだろう。
ストーリーは、地質学者とカウンセラーの夫婦宅を訪れる友人や家族の人生を描いている。それぞれの人が抱えている、人生の苦悩をゆっくりとしたリズムで表現している。彼らの悩みや問題は他人事でなく、自分自身や自分の周りにもよくあることだ。ある意味、陳腐といえば陳腐、でもとても共感する部分がある。多分、ある一定の年齢にたどりついた人(中高年)にはとても理解できる内容だと思う。

物の考え方の面で英国人は日本人に似ている所があるので、役者のそぶりや表情から、その人がどんな風に感じているのか私もとても理解できる。「あうんの呼吸」とまではいかないが、日本人は行間から雰囲気を読むのは得意だと思う。

彼の作品で好きなのは「Secret and Lies (秘密と嘘)」。これはコメディーと悲劇が混じった傑作である。
有名なのは、50年代の堕胎問題を描いた「Vera Drake (ベラ・ドレイク)」、何とも胸が詰まる物語であった。

彼の映画は、労働者階級の心温まる触れあいを描きつつ、反面残酷な人生を一貫して表現している。
私はこのマイク・リー監督のとてつもなく退屈を感じさせる、だけど人生を深く考えさせてくれる映画がとても好きだ。

2011年1月12日水曜日

裸のシェフ?

今日は料理の話。
このところの寒さと薄暗さの日々で、突然、オニオングラタンスープが食べたくなった。
家にあるル・クルーゼのミニ・ココットはオニオンスープを入れるにはちょっと小さいので、近くのスーパーで、ひと回り大きくいサイズでオーブンにも入れられるミニ・ココットの偽者版を買ってきた。
リキを入れて時間をかけてスープを作り、最後にバゲットとエメンタール・チーズをのせオーブンへ。チーズがしっかりとろけて最高の味になった。

メイン・ディッシュがどうしても思いつかなかったので、今日はジェイミー君からアイデアをもらい、サーモンといんげんにペストをのせたホイル蒸しを作った。これもなかなかの美味だった。
ジェイミー君とはジェイミー・オリバーのこと。イギリスのカリスマ・シェフ。日本でも結構有名になっている。素材を生かした、シンプルな料理を作ることから、「Naked chef (裸のシェフ)」とも言われている(ヌードで料理をしているという意味ではない)。

彼は単なる料理人というより、料理を通じて人々の食への意識向上をはかり社会を変えていこうとしていることで有名である。
いつか見たテレビの番組では、英国人がスーパーのインスタントや冷凍加工食品しか食べないことを憂慮して、健康的な食べ物を作ろう運動を発起、ある町の工場労働者のところに出向き、彼らに「野菜炒め」を教えていた。最初の数十人のグループがジェイミーから野菜炒めを直接教わり、その教えてもらった人が次の数十人の人に作り方を教え、それをどんどん繰り返し続けていくのだ。最終的には1日で1000人近くの人が野菜炒めの方法を習得するという結果になった。

ある時彼は産科クリニックに赴き、最近の妊婦のほとんどが適切な食生活をしていないため体重増加が著しく、出産時のリスクや合併症が深刻という話を聞いた。その後、彼は妊婦に対して料理教室を開いたりしていた。

最も有名なのは彼のプログラムによる学校給食活動。英国の学校給食はジャンクフードが多く、児童の健康や成長、特に肥満問題があると長いこと指摘されていた。ブレア元首相はジェイミーの考え方を買って、彼を学校給食の献立係りに任命し、いくつかの地域の学校を対象にメニューを全面的に改定した。当初、教師や親は彼の考えに賛成したものの、毎日果物、野菜を中心とした食事に生徒が嫌気をさし、生徒は次第に近くの店からジャンクフードを持ち込むようになった。親たちも彼の献立を「ちょっとやりすぎ、考えはわかるが、たまには生徒が食べたいものを食べさせるのも大切」と反対が出始めた。それでもこの運動は英国全土に広がった。テレビでは連日、英国の貧素な学校給食は自虐的なまでに報道されていた。ちなみに、フランスの学校給食の献立もテレビで紹介されたが、バランスある食材で本当においしそうに調理されており、英国の保護者たちは羨望の目で見ていた。日本の給食なんて見たらもっと驚くかもしれない。

プロパガンダ化した彼の料理人活動に批判する人も多いが、私は基本的に彼のレシピ自体は好きである。日本人が好む「素材の風味を生かした調理」(要は煮すぎたり、焼きすぎたりして元の味がわからなくなる調理をしないという意味)という方法は私は全面的に賛成である。

2011年1月9日日曜日

新年の決意


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オーストラリアから極寒のパリに帰ってきた。
いつもの生活に戻り、ある意味都会のアパート生活は悪くないと改めて実感している。
でも太陽がとっても恋しい。パリに戻ってからお日さまを浴びていない。身体にコケが生えそうだ・・・

Mon mari は昨日、出張でプエルトリコに行った。
パリ発の飛行機が遅れて出発したので、乗り換えの飛行機に間に合わず、経由地(国)で1泊とまることになった。

電話が来た。

私:今どこにいるの?

MM:Sint Maartenっていうところの Netherlands Antillesっていう町。
とにかく人は親切で、英語、オランダ語、フランス語、スペイン語、全部が通じるんだ。

私:はぁ・・・どこそれ?

MM:自分でもどこにいるのかよくわからない。とにかくプエルトリコの近くみたいだ・・・

自分がどこにいるのかわからないというのは尋常でない。
大丈夫なのかと思って、マップをググった。
プエルトリコの東にある小さな島、サン・マーチン。
さらにウィキで調べると、島の北部はフランスサイド(フレンチ・アンティル)、南部はオランダサイド(ネーデルランド・アンティル)に分かれているらしい。
植民地時代にスペイン、フランス、オランダが入植し、結局は仏蘭領に分割された。今は一つの国になっているが、言語や文化などはそのまま残されているよう。

とにかく大体の位置がわかり、あさっての方向に行ってないことが確認できて安心。
カリブ海には知らない小さな島の国がたくさんある。
今年は大きな地球儀を買って、世界の知らない国を探して少しずつ覚えて行こうと決心した。

2011年1月3日月曜日

お隣は生活万能者

いよいよオージー滞在も残すところ1日となった夜に、我が家の後ろのお隣さんが夕食に招いてくれた。
中央の緑のシャツを着ているジョンさんと右隣のクリスさん。ご夫妻は私たちが家の建設の準備を始める時から、色々な面で助けてくれた。
ジョンさんは農民。広大な敷地に羊、ヤギ、アルパカをもつ一方、土地整備などの仕事も時々している。
農民の人の生活能力の高さには本当に驚く。要は自分ですべてをしないと生きていけないという環境なので、都会の人よりはるかに自立性と自律性をもっている。
途上国の開発援助の活動の中で「Indigenous Knowledge (先住民の知恵)」とか「Local Knowledge (地元の知識)」などという言葉がよく使われているが、これは途上国に限ったことでなく先進国も同様だということがよくわかった。とにかく日常的な小さなことから大きなことまで、農民の知恵と技術はすごいということをオージ体験で改めて知った。

夕食には隣町のご夫婦も招かれた。皆からは「そのうち田舎の生活に飽きるんじゃないの?ここでいったい何するの?」と厳しい質問も受けた。確かに都会人が田舎暮らしを始めると最初は楽しくて仕方ないが、そのうち退屈になり都会の生活に戻りたくなる、というのを聞く。
まあ、そうなるかもしれないが、とにかく始めてみないとわからない。

ところで、夕食の後にチーズとフルーツが出された。
4種チーズの真ん中にクラッカーとなんと、海苔せんべいが置かれていた。
「え~、チーズをライスクラッカーの上に乗せて食べるの?」と聞くと、クリスさんは「そうよ、とってもおいしいの、オージーでは人気なのよ」と。
確かに昔、日本でもチーズおかきというお菓子であったけど、生のチーズをせんべいと一緒に食べるというのは初めての経験だった。
オージーでは、薄焼きせんべいがものすごい人気で、ポテトチップスと同様にスナック菓子としての地位を確立している。スーパーには10種類くらいの味付けせんべいがある。日本では絶対に見られないテイスト、「トマトとバルサミコ酢」「チェダーチーズとチリ」「蜂蜜と辛子」など不気味な味もある。
こういう亜流のものを食べていると、日本のシンプルな草加せんべいとかがとても懐かしくなる。

さて、これから荷造りして空港へ向かう。極寒の欧州へ戻るのはとても憂鬱・・・。

2011年1月2日日曜日

新年の労働靴

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

私たちの大晦日と新年はとてつもなくフツーの日で、お祝いする雰囲気は全くなかった。とにかく毎日、野良仕事や家の仕上げにまつわる労働に明け暮れる日々だった。

庭は草が生い茂って、トカゲやヘビなんかもいるかもしれないと思い、いつも長靴で作業していた。でも過酷なオーストラリアの土地で労働するには長靴では足を十分に保護できない。


そこでMon mari がクリスマス・プレゼントに「オージーのための労働ブーツ」を買って来た。
このやたら目立つ紫色のブーツ、うちに家電を配送してくれたおじさんが履いていた。最初、なんと趣味の悪い色なのかと思って話を聞いたら、これは、Purple Boot Brigade といって、このブーツの売り上げの30ドルが乳がん財団に寄付されるとかで、巷の労働者の間には結構、流行っているらしい。
いかつい身体で髭を生やし、ドスの効いた声を出す労働者のおじさんたちが紫色のブーツを履いて「オイラも女性のガン撲滅を支援しているんだゼ!」と言うと、ちょっと笑っちゃうけど、心が温まる感じもする。

このブーツのもうひとつの特徴はSteel Toe Capと言って、つま先に硬い金属が埋め込まれており、何十キロという重い物体を間違って足元に落としても足に怪我がないように作られていることである。金属が入っていてもブーツは意外に軽くて履きやすい。さすが、過酷な作業をする労働者の靴。
物を足に落とすだけでなく、これならヘビに噛まれる心配もないだろう。