2011年7月10日日曜日

告知

今日のうちのリビング。
なーんにもありません。
からっぽの空間。
このたび、パリの生活を引き上げることになり、引越しですべてが積み出された。

運送業者の人たちが総勢7人も来てくれて、我が家のすごい量の荷物を梱包してくれて、ベランダからはしごリフトを使って、巨大コンテナに詰めてくれた。

アパートの部屋にある2台のバイクは4人の大男がバルコニーからもちあげて、リフトで下ろされた。お兄さんたちは、今まで色々なアパートに引越しでいったが、バイクのある家は初めてだ、と興奮していた。

バイクが4階からリフトで下ろされる瞬間。

そして地上に降りたバイクはそのままコンテナに入れられた。
アパート内の2台、駐車場にあった2台、合計4台のバイクは何とか詰め込むことができた。まったく大騒ぎな客だ・・・

2日にわたって行われた引越し作業は無事、終了。
この2ヶ月間、パリを去るための準備(アパートや車の売却、引越しの準備など)で怒涛の毎日から、疲労感の方が強く、パリを去る寂しさを感じる暇もなかった。

このブログもパリを去ることにより、今回を最終回とさせていただきます。
今まで、ブログを読んでくださってコメントをしてくれたり、いつも静かにサポートしてくださった友人や家族に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

パリの後はオーストラリアのメルボルンに引っ越しますが、今後の生活の様子はこちらのブログでお伝えする予定ですので、引き続き、よろしくお願いします。

2011年7月6日水曜日

「血液型は何?」の不思議

ちょっと前に、松本前復興担当大臣が「自分はB型なので短絡的なところがある」と発言して、血液型差別を助長すると批判されていたことが、海外のニュースでも大々的に報道されていた。
この血液型と性格は、日本人特有の見方のようだ。

実はMon mari が初めて私の実家に来たときに、私の母は「Mon mari さんの血液型は何型なんですか?」と聞いたら、Mon mari はひどく驚いた。理由は何故、血液型が質問に出るのか全く理解できず、また自分の血液型が何なのか知らなかったからである。私の知る限りでは、日本以外で血液型と性格をつなげる話題を聞いたことはないし、また自分の血液型を知っている人は、特に欧米では少ない。
Mon mari はこの質問が結構ショックだったようで、その後、機会あるごとに自分はこんな質問をされた、と話題にしている。ちなみに、母から血液型を聞かれた直後、たまたま彼は日本で健康診断を受けたが、自分の血液型がA+であることを50数年生きてきて初めて知った。

先週の英ガーディアン紙でも日本人の血液型へのこだわりを特集していた。
一般的に思われている血液型による性格は:

A型:創造的、思慮深い、でも選り好みが激しく頑固。
B型:創造的、情熱的、でも自分勝手で無責任
AB型:社交的、適応性があるが、批判的で優柔不断
O型:付き合いがよく、適応性がある、でも嫉妬深く、傲慢

だそうだ。

もともと、この血液型と性格の関係は、複雑な背景に基づいている。
1920年代、日本の医師が台湾人の41%がO型である一方で、日本人は23%という理由から、台湾人が日本人より劣っている、と診断したことがきっかけだそうだ。でも、科学的な根拠もない偏見に基づいた考えなので、1930年にはこの理論は廃れたが、その後、血液型と性格をリンクさせる考えは広く日本の大衆に広がったそうだ。

でも海外では一般的ではない。
なので、外国人に「あなたの血液型は何?」と安易に聞くのは控えたほうがいいかもしれない。

2011年6月29日水曜日

ロビン・フッドの秘密村

北海に面した、ヨークシャーにある、Robin Hood's Bay (ロビン・フッド湾)。
小さな漁村だが、そのユニークな地形や町並みに人気があり、密かな名所になっている。

ロビン・フッドは中世の伝説上の義賊。
彼がこの村に秘密に船を隠していたというのが言い伝えになり、ロビン・フッド湾と言われるようになったとか。

実際はロビンフッド自身のことより、この町の風景が魅力的なようだ。特に急坂を下りていく傍らに立つ家々。赤い屋根が特徴で、3階、4階建ての家がひしめきあっている。典型的なイギリスの家とはちょっと違う雰囲気。

一歩、表通りから中に入ると小道がたくさんあり、何となく南欧の町並みを思い出す。
入り組んだ道が多いため、初めて来た者は迷うので、友人のお嬢さんのメイちゃんとフランちゃんが案内をしてくれた。

奥にどんどん入るとこんな感じ。そういえば、京都もこんな町並みだったわね・・・どこの国でもこういう町並みってあるのだ。
住民は代々から住んでいる人たちで、お互いをよく知っている、日本の田舎と同じように、玄関のドアはいつも開けっぱなし、隣近所同士は遠慮なく、皆、づかづかと他人の家に入って、お茶を飲みながらべちゃべちゃ世間話をしていく。東京にも昔そんな雰囲気あったな・・・と、懐かしさを感じる。


坂を下りていくと湾に当たる。ロビン・フッドが置いたという船などはもちろんないし、どこに置いたのかも誰も知らないよう。

1日の終わりに皆で夕食。ママが作ってくれたムサカ。やっぱり南欧のお料理が似合う町。
この家もやっぱり玄関は開けっ放し。
フランちゃんの味噌っ歯が限りなく可愛い・・・・

2011年6月28日火曜日

不要な服の行方

マークス・アンド・スペンサー(Marks & Spencer)。
英国のデパート。三越みたいな老舗デパートだがもっと地元に密着している。

久しぶりにM&Sに立ち寄って、麻のブラウスを目にした。Made in Indonesiaで、昔住んでいたインドネシアを思いだしてしまい、20%引きのセールということもあり、思わず衝動買い。

よくよく中のタグを見ると、NGOのOxfamの文字が見える。
あれ、これOxfamのフェアトレード商品かしら、と思い、他の商品も色々と見ると、M&Sの全部の服にOxfamマークがついている。タグには、「Recycle with Oxfam」と書いてある。何をどうリサイクルするのかわからないが、とにかくM&SはOxfamと業務提携をしているのは確かだ。

家に帰り、ネットで調べてみたら、こういう仕組みであることがわかった。
いらなくなったM&Sの服をOxramショップに持っていくと、交換に5ポンドのバウチャーがもらえる。この次にM&Sで35ポンド以上買い物をすると、この5ポンドバウチャーが使える。5ポンドの洋服のリサイクルで途上国へ、蚊帳、8人分の安全で衛生な水、教科書5冊が提供できるそうだ。
詳しくはこちらから。

企業のフィランソロピーはどこでも当たり前になっているが、企業が独自でやるより途上国の経験を豊富に持つNGOとパートナーシップを組んでより効果的に行う点では新しい取り組みと言える。

でも日本で、例えば三越が売っている洋服を日本のNGOと連携し、リサイクルして資金を創出する、なんていう試みはまだ10年も20年も先のことかもしれない。

2011年6月25日土曜日

ヒッピー村

イングランド北部、西ヨークシャーにある、ヘブデン・ブリッジという町。
かつては紡績工業が栄えた場所。運河は物資の運搬などのために使われた。今は、ナローボートが停泊したり、通過したりする観光名所。

なぜ、ここに来たかというと・・・
紡績産業が廃ってから、美しい場所という噂が広がり、60年代から70年代にかけてヒッピーたちが集まって定住し始めてから、別名ヒッピー村とも言われているとか。ということで、ちょっと様子を見に来た。町はとてもきれいで静か、ヒッピーらしき人はみかけなかった。

唯一、レストランでオールド・ヒッピーぽい人が食事をしているのをみかけたが、集団ではいなかった。まあ、いたとしてももう60代、70代の人たち、普通の初老の人たちになって、昔の面影はもうないのかもしれない。

米国でもニューメキシコ州がアーチストたちが集まる地域になっているように、ここでも同じ背景、関心を持つ人たちが集まって暮らす地域があることを知った。

町でみかけた公衆トイレ。
「Public Convenience」、なんと伝統的で意味深な言葉か・・・
最近はこんな言葉、ほとんどみかけない。

2011年6月17日金曜日

食用油の功罪

ロンドンの下水道。レンガ造りで19世紀後半に作られた古い下水施設。
最近、大きな悩みに直面している。
レストランから排出される食用油の塊が1000トンにものぼり、下水を詰まらせる恐れがあるということで、油脂の塊を取り除く大除去作戦が2ヶ月間にわたり展開された。
詳しい様子はBBCで報告されている。
しかし、食用油がこんなところで環境汚染の原因になるとは知らなかった。東京などの他の大都市はどうしているのだろう?

このような状況の中で、ロンドンの歓楽街であるレスタースクウェア、チャイナタウン、ソーホー、ウエストエンドなどにあるレストランは、特に揚げ物などに使った大量の食用油を再利用のために業者に無料で引き渡している。業者はその油を精油(ろ過してアルコールとまぜる)し、バイオディーゼルを作り、ロンドンのタクシーに売っている。バイオディーゼルは二酸化炭素の排出もなく、環境にやさしい燃料とされ、従来のガソリンよりも低価格なのでタクシー運転手に人気があり、これからどんどん拡大する燃料と報道されていた。

日本では、3月の大震災の後にガソリンが街から消えて、震災地への支援にも大きな影響を与えた。従来の化石燃料だけに頼らず、このような自前でできる燃料を少しずつ国内で増やしていくことも必要だろう(軽油対応の車という限定はつくが)。
新宿、渋谷、六本木などのレストランから出る油はどのようにして処理してるのだろう。下水に流していたら、ロンドンのように油脂が堆積しているかもしれない。下水に流していなくても、固めて捨てているなら、それを代替燃料として再利用するなど、誰か呼びかける人や団体がいないのだろうか・・・?

2011年6月14日火曜日

近くより遠くが美しい?

フランスに住んでいるうちに一度は行っておきたいと思っていた所、モンサンミッシェル。
ノルマンディーとブルターニュの境に位置する、遠浅に浮かぶ小島。
日本語にすると「大天使ミカエルの岩山」。
潮の干満が激しく、満潮になると海に浮かぶ孤島になるが、近年、島と陸を結ぶ道路(堤防)ができてから、周辺に大量の砂が堆積し、かつての孤島の景観が失われているそうだ。そのため、近いうちに道路を取り壊して、長い橋を作る工事が計画されているとか・・・。

島のてっぺんには大聖堂と修道院がある。8世紀に作られて以来、巡礼の場所として栄えた。14世紀の100年戦争には要塞として機能し、その後ナポレオン時代は監獄として利用され1万4千人の囚人が監獄され、島は長い歴史の中で色々な役割を果たしてきた。現在はユネスコの世界遺産に登録されており、世界中から観光客が訪れている。

実際に島の中を歩くと観光客でごったがえしていて、みやげ物屋が軒を連ね、レストランも観光地ずれしていてあまり親切でない。大聖堂や修道院も長蛇の列に並んで入るので、島に来ると幻滅して帰る観光客も多いらしい。

私たちが行ったときはそれほど大量の観光客はいなかったが、ふもとで見るより遠くから見る富士山の方が美しいように、モンサンミッシェルも島の中にいるより、遠くから見るほうがはるかに感慨深いものがある。

夜になるとライトアップされ、写真のような幻想的な姿を見せてくれる。
姉と二人で、「もう二度とこの島に来ることはないから、いい冥土のみやげになったね・・・」と、ほとんどおばあちゃんのセリフを語り合った・・・